東大阪でそろばん教室を運営しているの先生のブログ 関西珠算瓢箪山教場・石切教場

子供たちから教えられたこと、感じたことを想いのままに綴ります。

定期テスト対策講座

2018-11-22 14:14:18 | 学習・塾に関する中身
 を受講したい生徒さんをを募集している塾さんがあるようです。

 これって、実際問題として不可能だと思うんですよ。

 たとえばオリンピックの選手選考会の1週間前に「オリンピック選考会対策講座」があったとして、お子様に受講させますか?

 たとえば、ミニバスの公式戦の1週間前に「ミニバスの試合で絶対に勝つための対策講座」があったとして、お子様に受講させますか?

 たとえば、英検の1週間前に「英検合格対策講座」があったとして、お子様に受講させますか?

 上記のたとえでいえば、それぞれの事柄に普段から真摯に取り組んでいて、もう一伸びが欲しい! そんな状態であれば効果がある場合もあると思います。でもね、ずぶの素人が1週間前から付け焼刃の特訓をしたところで、その成果は高が知れています。

 ところが、ほとんどの保護者の皆様は「試験の1週間前に真剣に勉強すれば、ある程度の点数を取れる」と考えておられるんです。その根拠が「塾に通っている」「学校で毎日授業を受けている」なんですよ。

 そうですね、学校の先生がプロとしてしっかりとした授業を行い、生徒側はそれを真剣に聞き、分からないところはその場で先生に質問し、家庭学習できちんと定着を図り、さらに出てきた疑問点を学校で先生にぶつけて取りこぼしを無くす。
 普段からここまでしていれば、正直なお話「塾」は必要ありません。まあ5教科で400点を割ることはないでしょう。試験1週間前は学んだことの復習に全力を注げば大丈夫です。
 ところが、残念ながら学校の先生の中には「ホントに教員採用試験に合格したの?」と疑いたくなるような教務力しか無い先生が存在します。そして生徒の側にここまで普段から真摯に学習に取り組む生徒は恐らく学校で1人いればいい方という感じです。

 では「塾に通っているし」というご意見はどうでしょうか? 残念ながら私の教室に他の教室から変わってきた生徒や、懇意にしていただいている塾の先生にお聞きする限りにおいては「それ、お月謝もらう詐欺じゃないの?」という教室があったりします。
 (たとえば、英語や国語での音読をしない。小テストが全く無い。宿題を出さない。忘れても叱らない。などなど…)
 塾がきちんと機能している場合でも、本人に努力する意思が無い(あるいは指導者が求めるレベルに全く届いていない)場合は、やはり残念ながら塾の指導はあまり効果を発揮しません。

 というわけで、試験前の対策授業がきちんと機能するためには「普段から学習へきちんと取り組んでいる」ことが大前提になるわけです。

 しかしながら、過去問や予想問題を丸暗記することである程度の点数が取れてしまうことも事実です。逆に言えば、その程度の付け焼刃の努力(と言えるほどのものでもないですが)で、ある程度の結果が出てしまう、それが定期テストなんですね。

 ただし、この定期テストにどのような意識で立ち向かうかによって、受験のときに残っている中身は全く違うものになってしまいますし、さらに言えば、普段からあとにつながるお勉強を習慣付けていれば、受験前のお勉強はかなり楽に進むことになるのです。
 こうして獲得した真の力を「実力」といい、定期テストでいい点数をとっていても、実力テストになるとてんでダメという場合は、普段の定期テストのお勉強の質が悪いので、実力になるまで育っていないということです。

 「試験前対策講座」と言うものを受講するということは、質の悪いお勉強を身につける危険性をはらんでいることをきちんと理解しておく必要があります。ただし、本当に良質なものを提供しているお教室が無いわけではありません。しかしながらそうしたお教室は「普段から」きちんと生徒を鍛えているので、「普段から努力をしていない」生徒が飛び込んでもまったく効果がありません。

 もし「定期テスト対策講座」に飛び込んで、一定の成果が上がったならば、お子様が「普段の努力」を全くと言っていいくらいしていないと言っても過言ではないと思います。
 もちろん、「普段の努力」全くしていないからそこに気付かせるために「定期テスト対策講座」を受講させてみるというのはアリだと思いますよ。

 そして、「定期テスト対策講座を無料で実施」している塾さんにお子様を通わせている皆様は、普段の保護者様のお子様の努力と情報を、他人に無料で提供しているということに少しはお怒りになられてもいいんじゃないでしょうか?

 私の考えで言えば、「普段の授業こそが、定期テスト対策授業であり、入試対策授業である」ということですね、はい。
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「理系」に関する勘違い

2018-11-17 19:22:47 | 日記
 「理系」と聞くと、とにかく数学ができると思うかもしれませんね。

 私自身は高校時代はバリバリの文系でした。国公立を目指すためには理科も必要だったので「地学」を勉強しました。その中で地学に興味を持ったので、「地学」の専門教員を養成する「奈良教育大学 特別教科(理科)教員養成課程 地学専攻」というコースがあったので、そちらを第二志望に(第一志望は中学社会でした)して受験した結果、地学専攻のコースで合格したのです。

 結果として、大学で「理転(理系に転向する)」したわけです。理科と数学をお勉強することに多少苦しみましたが、結局自然科学の論文を書き、学会発表もするところまで研究を進めましたから、なんちゃって理系ではないと思っています。

 だから、中学・高校時代に数学や理科が苦手であっても「理系には向いていない」わけでは決してないのです。もちろん「理科・数学が得意である」状態であれば、理系をオススメしますし、「理科・数学が苦手で実際に結果も出せていない」のであれば理系をオススメするわけではありません。

 現在の義務教育における理科の教育は「理科嫌い」を量産する方向に進んでいるとよく言われます。たとえば、実験をせずに丸暗記。結果だけを説明する。子供たちの「なぜ? どうして?に答えようとしない。などですよね。
 さらに数学のもとになる算数では「掛け算の式の順序」に正解・不正解が存在します。本当に「どうでもいい」レベルのことを強要します。でも割り算の記号は分数からできていることや、割り算の記号は4種類あることなど、子供たちの興味を引くことを授業中に指導しておられる先生を私は知りません(なんなら自分が理系であることを自慢げに話す先生でも知らなかったりしますからね)。

 私は長年子供たちに関わる中で「義務教育時代に、本来理系の素質を十分に持っているのに理系教科で結果を出せない生徒がたくさんいる」と思っています。そしてそういう生徒が「塾」という教育機関に通っても、その「塾」に理系のセンスを涵養する指導者がいなければ、やっぱり理系のセンスは芽を出しません。

 私の教え子はその進学先を聞く限りにおいて理系が半数程度いるので一般的な理系の割合よりは少し多い気がしています。私は国公立志願でバランスタイプだったので、全教科について「捨てる」という行為をしたことがないことも影響しているのかもしれません。
 さらに、私は一人で5教科の指導すべてを担当しているので、教科間に指導内容の偏重がないように気を配っているということも影響しているのかもしれません。

 いろいろな考え方はあるのでしょうが、義務教育時代の成績程度で「理系・文系」を決めてかかることは、なんとなくセンスが無いような気がするんですよね。まあ、私自身は「中学・高校理科専修免許状」所持者であることもあってか、昨今の理科離れと言われる状態を憂慮している一人です。なので、私は授業中に「なぜ?」を重視して指導をしています。

 理系か文系か。決断するのは自分の希望の進路を見つけてからでもいいんですよ(まあ、理系教科で結果を出していない状態から理系を目指すのはしんどいですけどね:体験者は語る 笑)。
 大人に何を言われようが、自分の希望の進路くらい自分の力でこじ開けるくらいの地力を身につけてください。

 でも、本当に義務教育時代の頑張りくらいで、その子の進路を決めてかかる指導者は虫唾が走るくらい嫌ですね。もちろん、義務教育時代の成績や、教科間の得手・不得手はその後の人生に多大なる影響はありますが、義務教育時代の成績からは考えられないような進路を決めてきた教え子をたくさん見てきた身からすれば「うん、スタート位置はだいぶ悪いから苦労するぞ~」ぐらいにしか思わないんですよね。
 とにかく、やらなきゃいけないときにできる力をつけておくことは確かに大切です。今はとにかく自分の力をつけることに全力を注いでほしい時期ですね。頑張れわが子たち!
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塾指導に対する考え② 中学生の塾指導について

2018-11-09 01:06:23 | 日記
 大学院修了後に非常勤講師をしながら塾講師もしていました(バイトです)。まあ生きるためには仕方がないですよね。

 中学校ではたくさんのしんどい生徒と関わりました。ご家庭に問題がある生徒、発達障害の傾向がある生徒、すぐに暴力に訴える生徒、精神的に不安定な生徒…。
 こうした生徒は総じて学力が低く、生活習慣も良くありません。遅刻や欠席が多いし、みだしなみも良くありません。朝ごはんを食べないし、挨拶もきちんとできません。そして自分の考えや気持ちを相手に伝えることを特に苦手としています。
 そして極めつけは「自己肯定感」がありません。どうせ私なんか! という心持になっている生徒がほとんどです。無理やりに言葉を作るとすれば「自己否定感」の固まりなわけです。だから全てのことに対して投げやりで無気力なんだと気付いたわけです。
 逆に言えば「自己否定感」を取ることができれば、全ての要素が上向くのではないかと思いました。

 一方で、当時講師をしていた塾は成績でいえば平均点-70点前後~+50点前後の生徒が多かったんです。いわゆる「成績中位層」~「下位層の中でもまだ良い方」といった感じです。
 で、塾に来ることができる層ですから、親御さんも比較的ご理解をいただいていました。それでもこういう層の生徒はとにかく「我慢」ができないんですね。ゲームしかり、テレビしかり、マンガしかり…。今自分がやるべき中身が分かっていても、目の前の楽しさに負けてしまうわけです。
 根気よく繰り返し伝えました。なぜお勉強をするのか? お勉強ができるということで人からどう見られるのか? お勉強ができることで見えてくる世界があること。などなど。

 そうして自分自身を客観的にみつめることができ、頑張り始めた生徒は必ず学力は上向きました。これは塾講師をしていたときの教え子も、中学校のいわゆる「低学力」の生徒たちにも共通して言えたことです。
 しかしながら「十分に」学力を取り返すには中学生からでは遅すぎることを現実として知るわけです。1年で偏差値で5~7くらい上がっても、元々が40未満であれば50に届かないわけです。1年以上頑張っても真ん中にすら届かなければ、やはり子供たちは「どうせ…」となってしまうわけです。それでも頑張る前の状態からは伸びているわけですから、進路の選択肢は広がっています。親御さんには感謝していただくことが多かったのですが、それでも「もっと早く出会っていれば」と忸怩たる思いをずっと持ち続けました。

 でもね、じゃあもっと早く頑張っていればもっと選択肢は広がるじゃないか!とい考えに行き着くわけですよ。

 そしてさらに、大学進学をする・しないに関わらず「自分のことを自分で決める」ことができるようになること。これも伝えたいのです。

 中学校でたくさんのしんどい生徒(いろんな意味で)を実際に見た感覚です。これは塾講師しかしたことがない者には絶対に分からない感覚です。「塾」に来ることができる生徒は、それだけで恵まれているのです。しんどい生徒は「どうせ」が口癖です。自分の置かれた環境を他人のせいにします。もちろんそういう状態の生徒も少なくはなかったんですが、「じゃあ、自分の力でこじあけろ!」という気持ちを持って欲しいんですよね。お勉強を通して、努力は結果に必ず比例するということ。そして自分が目標さえ見つければそれに必要な努力をすればいいこと。このことを子供たちには知って欲しいのです。お勉強を通した努力で、その努力に応じた結果を得れば子供たちは確実に変わるのです。

 「大量の課題には意味がない」「大量の課題をこなすことで高校入試を乗り切れば、その先で必ず詰まる」「できるだけ効率の良いお勉強を中学時代に身につけるべきだ」というお考えの塾講師の方は多いと思います。
 こうしたお考えの塾講師の皆さんは「努力させる過程で伝えるべき大切なこと」を知らないのです。そして「大量の課題でその後伸びない」生徒をたくさん見たという方は、「努力させる過程で伝えるべきこと」を理解している指導者が周りにいなかったのです(もちろんご本人も理解されていないのです)。

 私は中学生の塾指導において「頑張らせること」はものすごく大切なことだと考えています。その「頑張らせる」ことの意義をしっかり理解していないと、「頑張らせること」は「ただの苦行」になってしまいます。
 そして「頑張らされること」が当たり前の感覚になってほしいので、そろばん指導でたくさんの負荷をかけるのです。

 こうした私の想いを中学時代に理解してくれる生徒もいれば、高校進学後・大学進学後・なんなら社会人になってから理解する教え子もいます。今日もお手伝いしてくれている大学生講師の1人が「中学時代は何も分かってなかったけど、今になって考えれば先生の指導って全部先の先を見てくれてると思いますもん。なんでこいつら分からんのかなって思うけれど、自分の中学生時代を考えればそれもそうかなとも思います。それでも伝え続ける先生ってほんとしんどいですよね。ひょっとしたら一生分かってくれへんかもしれへんのに」

 うん、伝わってますね。こうして伝わる生徒がいる限りは私は伝え続けます。そして学力を上げることは大前提として、塾指導の際にはこうしたことも考えていますよというお話でした。

 こんな長いブログにお付き合いいただきありがとうございました。
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