こんにちは、

真剣に実演を記録する生徒さん。
40歳からの女性のための
ベリーダンス&ひとりサルサ教室
💖アモールダンス教室💖
主宰の齊藤なつです。
11/24(木)はベリーダンスクラスのレッスンでした。
この日は新しい振付レッスンのスタート日でした。
今回はバラディにトライしてみます。

真剣に実演を記録する生徒さん。
レッスン曲
「habibi ya eyni」
mohamed ali ensemble
【バラディについて】
今回バラディをレッスンするにあたり、あらためて「そもそもバラディとは何だろう?」
ということについて、私の持っている文献やいろいろな資料を読んで調べました。
しかしながら、バラディとは単にベリーダンスの中のスタイルではなく
大変奥深く広いものでありました。
また、解釈もいくらか人によって異なり今もってなお、混乱しているようでもあります。
だから私も一生懸命調べましたが、それが1ミリも間違いなく正確かは
今も自信が持てません。
これまで私が知り得た限りのバラディの姿をとにかく書き連ねていきます。
生徒さんにおかれましては読んでいただき、レッスンでは時間の都合上説明しきれない部分をこちらで補っていただけたらと思います。
また、これを始まりとしてご自身でも調られるとさらに解釈が深まると思います。
それから、日本の中年層である私がバラディを踊るにあたり考えていることも、
ここに書き伝えておきたいと思います。
よろしくお願いいたします。
【言葉の面から】
バラディという言葉の意味
アラビア語で田舎、故郷、大衆、下町、労働者の人々といった意味の「balad」に
「i 」をつけて「~の」「私の~」という意味になる言葉「baladi」=バラディ、
→「田舎の」「私の故郷」といった意味の言葉。
また、20世紀初頭に地方から都会のカイロに移住し働き、暮らした人々を指す言葉でもあります。
【音楽の面から】
※説はやや分かれているようです。
説1=それぞれの各地の地方の音楽。
説2=地方からカイロに移り住んだ人々が持ち込んだ地方の音楽が、都会カイロの音楽と合わさってできた都会の音楽。
【音楽スタイルの面から】
説1=エジプトの地方でその土地に伝わる音楽。
民謡、歌謡曲などジャンルは様々で、
イスカンダラーニやシャービーの一部もこれに含まれる。
※イスカンダラーニ=アレキサンドリア発の舞踊。肩や裾がアシンメトリーになっていてフリルのついたミニワンピにポンポンのついたスカーフを頭に巻き、コイン大のスパンコールがで縁取られたベールを持って踊る舞踊。
説2=バラディは明確な演奏の形式にのっとったものを指す。
即興→楽器と太鼓の掛け合い=クエスチョン&アンサーのイントロから始まり本編へ。
本編の流れはゆったりした曲調からだんだんテンポアップし、最後はスピード感のあるドラムソロで締められる。
※今回レッスン曲に選んだ「ハビビ ヤ エイニ」はポップスに分類されていた場合もありましたが
バラディに分類されていることも複数見受けられ、また、上記の形式と照らし合わせてもそうなのではないかと思い、
この曲をバラディと判断させていただきました。
【ダンススタイルの面から】
バラディダンスには決まり事がたくさんあります。
オリエンタルベリーダンス(一般的なベリーダンス)はもともと、エジプトの民族舞踊を見たハリウッド映画の関係者が、映画制作のために創り出したスタイルだと言われています。
セパレートの衣装に、ロシアのバレエやアメリカのショーの世界で踊られるようなショーダンスの要素が混ざり、
今のようなスタイルになったのだと言われています。
バラディは大衆のダンス。
日本人の私たちに例えて言うと、
オリエンタルベリーは「武富士」のCMで踊っていたような、トレーニングして完成させるダンス。ショーの要素が入ったダンス。
バラディはクラブやディスコ、もしくは盆踊りや祭りなど地方の行事で踊るような生活の中のダンス。
と言えば伝わるでしょうか…
だから、バラディは腕や足をバレエみたいにピーンと伸ばしたりはしません。
フロア中を広く使って動き回ったりもせず、できるだけその場で踊る。
そして、振付というよりも、音楽に身をまかせてラフに踊る感じです。
全身で表現するというよりも、「腰で踊る」。
この点が、バラディはクラブでの踊り方に近いのかなと私が感じた点です。
そんなふうにバラディは、民衆の中から生まれたダンスなのだそうです。
バラディを踊る際の服装にも決まりがあります。
セパレートの衣装は着ません。
白いシャツを長くしたようなロングワンピースに、ヒップスカーフとヘッドバンドをリボンのように巻いたスタイルが基本的なものになります。
または、装飾のついた長袖のストンとしたロングワンピース。深いスリットが入ります。
衣装店では「バラディドレス」という名前で案内されていることが多いです。
なお、オリエンタルベリーではバラディドレスは着ません。
【日本人の中年女性の観点から】
さてここまで、
バラディについて私が今までに知り得たことをひたすら書き連ねてきました。
ここからは、今タームでレッスンするにあたり私の観点を書いておきたいと思います。
結論から書いてしまいますが、
アモールダンス教室の生徒さんの層などから考察すると、
こうしたバラディの基本事項を全て満たすことはやはりどうしてもできない、という点です。
上記【ダンススタイルの面から】で
「ラフに」「腰で踊る」と書きました。
知識として知っておく必要はあります。
が、生徒さんが実践するのは難しいと思います。
コンパクトに腰を動かす踊り方というのは、技術的にとても高度だからです。
それから、レッスンでは「ラフに踊る」という表現もできるだけ使いたくないと考えています。
そう伝えてしまうことで、ラフというのが生徒さんの中に間違った解釈を生んでしまい、
生徒さんのダンス姿勢が崩れてしまう心配があるからです。
バラディであってもやはり、中年の私たちが踊るにあっては適切な姿勢を維持しなければ、
故障や怪我をまねいてしまう可能性があります。
それから、ステップやウォークでフロアを移動する動きを入れたり、
胴体、肩や腕の動きも正統派バラディよりも多く入れてしまうかもしれません。
やはり動かす時にしっかり体を動かさなければ、いろんな機能が鈍ってしまうからです。
このレパートリーは3月くらいまで稽古する予定ですが、そんな半年もの間コンパクトな踊り方だけを続けていたら、
私たち大人世代の体にはやはり影響が出てくると思います。
アモールダンス教室は、ダンスを通して大人世代の女性の健康創りをしたい、という目的がありますので、
そうした目的から逸脱するようなレッスンはできないと考えています。
こうした事項は11/24のレッスンでも生徒さんにも、お伝えしました。
だから、正統派バラディとは異なってしまうバラディになってしまうかもしれませんが、
決してエジプトの伝統や文化をないがしろにしたり、新しいスタイルを創り出すなどという他意は絶対にないのだということは
生徒さんをはじめ、
エジプトの方々や
エジプトの文化・芸術の伝承に心血を注いでいる方々にご了承いただけたら幸いに存じます。
【最後に】
とても長い文章、読んでくださって
ありがとうございました。
最後に、エジプシャンベリーダンスの大家、モハメド・シャヒン先生が書かれましたバラディについて記事のリンクを載せます↓
バラディについてよくわからないモヤモヤした部分や解釈の混乱についても
ズバッと書いてくださっていますので(しかも嬉しい日本語訳)、
ぜひ参考にお読みください。
「バラディか?『〇〇〇バラディ?』それが問題だ」