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端布に恋した私

小さな端布を 縫い集めてつくるパッチワークは 
私の楽しい趣味の一つです。

ブラシ

2006-10-20 | Weblog
母親が 娘の子供を出産した。と先日ニスースになっていましたが
そんなこと あるだろうなと私は思っていました。

隣は 酪農家です。 白黒のまだら模様の牛さんが 一杯いて忙しい
毎日です。
当然の事ながら 母牛は妊娠して 赤ちゃんを産まなければ牛乳が
出ません。

妊娠できる状態になると 獣医さんが来て 優秀な牛との 人工授精を
します。
あるとき 乳牛ばかりの中に 和牛の赤ちゃん二頭が 生まれていました。
何でも 知りたがりの私が 聞いてみると 優秀な肉用牛の受精卵を
二個乳牛のお腹に 入れ生ませたとのと。

この場合は まったくの借り腹です。
肉用の牛は ある程度大きくして 市場に出せば 肥育だけの農家が
高値で競り落として いきます。
そのとき 人間もそうなるときが 来るだろうと思っていました。

生き物の命は 簡単に人間が手を加えるべきではないような気がします。
優秀な 人間ばかりが 生かされる 世の中になったら どうなるのでしょう。
義父は 元気なとき 和牛を二頭ほど養い 子牛を定期的に生ませて
収入を得ていました。
競り市に 出荷する時は 前日にきれいに牛を洗い ブラッシングして
角は食用油で磨いていました。

当日トラックに載せるときは 必ず背中をなでて 鼻をすすっていました。
毎回 嬉しいけどつらい別れのようでした。

当日は弁当を 重箱に詰め 家畜市場のセリ人のダミ声を 聞きながら
お昼ごはんを食べていました。
「どうだった?」と 牛の値段を気使うのが挨拶でした。

沢山の出店や 屋台も並び 農家の方々の喜びの日 でもありました。
今は ハイテクとかで 静かな電光掲示板のセリ市です。

もう 家畜市場に行くこともありませんし 我が家に牛もいません。
主のいない牛小屋に 義父の使っていた牛のブラシがまだありました。