友人がラジオから録音したテープにロシア未来派の歌曲があって、題名はクレインの三つのイディッシュ語の歌。
テープをダビングして貰って聞いてみると浮遊感のある不思議な旋律。
そもそもイディッシュ語って何だろうと思って調べてみるとユダヤ系移民のことばであるようだ。
では一体クレインとは誰だろう。
そう思って自分の持っているアルテ・ノヴァのロシア未来派のCDをよくよく見てみると、Julian Kreinの名が載っている。
このCDには歌物はないが、調べてみると言葉なきユダヤの歌などを作っているらしい。
だが歌物の録音は見当たらない。しかし確かにロシア未来派にクレインという人物がいることは判った。このクレインか。
他日、Yiddish songs, kreinと検索すると、Alexander KreinというJulian Kreinの血縁がいて、ユダヤの歌曲を作って録音していることが判った。
特にSongs from the GhettoというCDがタワーレコードでもかつて売っていたことが判明。
このCDは現在取り扱い終了、すなわち廃盤なのが極めて残念。
けれども、このAlexander KreinのSongs from the Ghettoはタワーレコードのホームページで試聴できた。
聞いてみるとユダヤの歌と呼ばれる歌曲のなかに、問題の三つのイディッシュ語の歌と似た不思議な旋律の、浮遊感のある曲が確かにあった。問題のクレインは、このAlexander Kreinである可能性が高い。
この兄弟にGregory Kreinというjulianの父親の音楽家がいる。
この三人を含む家系は、ユダヤ音楽の収集をしていたらしい。
クレイン一家はロシア未来派の全盛期に熱心にユダヤ音楽やイディッシュ語の歌曲を作っていたが、スターリンの時代に入り、ロシア民族的ということが強調され、求められてイディッシュ語の歌を言葉なきメロディなどと改作して発表していたらしいことが判った。
あとは友人がCDをどう探すか、である。
浮遊するユダヤ移民のメロディが歌曲に似合うロシア未来派