超人日記・俳句

俳句を中心に、短歌や随筆も登場します。

#俳句・川柳ブログ 

<span itemprop="headline">長い冬と戦慄の音楽</span>

2011-03-01 15:03:13 | 無題

ブリュッヘンのベートーヴェン交響曲全集を取り寄せて聞いた。マッケラスやホグウッドに似ているが、より背景に陰翳を感じさせる奥深い趣きだ。古楽系は学者系が多く避けていたのだが、評判が良いのはうなずける。
どちらかと言えばマッケラスとスコットランド室内管弦楽団のエジンバラ音楽祭ライヴのほうがヴィヴィッドに感じられるし、ホグウッドの方が耳に新鮮に聞こえるということはある。
だが、ハイティンクに通じる押し出しの弱い奥深い感性は確かに聞くに値する。演奏も抑えがちに控えめに素人っぽく弾いているように感じる。また一つ世界が広がった気がする。
でも私がよく聞くのはミヒャエル・ギーレンの演奏である。一見冷血系だが泣かせ所は外さない。yamagishi kenichi 氏のサイトでも「オリジナル派に対抗できるのは、ギーレンの現代音楽的演奏しかない」と言っていた。
ショスタコーヴィチでは最近手に入れたローマン・コフマンが素晴らしい。
演奏も堂々としたドイツ式で、録音も最高である。ギリギリとショスタコ節で攻められると戦慄が走る。なかなか良い演奏である。
私はショスタコーヴィチとマーラーの全集が出るとじっとしていられない性格である。
最近、ローマン・コフマンのショスタコーヴィチと並行して聞いているのが、スヴェトラーノフのマーラー交響曲全集である。スヴェトラーノフのマーラーも耳をギリギリと攻め立ててくる、緊迫系演奏で、何度も聞いていると癖になる。
戦車の行進を思わせるマーラーで、非常に現代的な響きがする。
ローマン・コフマンのショスタコーヴィチにやられ、エフゲニ・スヴェトラーノフのマーラーに打たれ、
寒い孤独な冬をしのいでいる。
ブリュッヘンは若い時から白髪で枯れていて、年取って見える。その学究肌から生まれたオリジナル派の演奏は一時代前のものとも言われるが、その擦れていない演奏が私たちの心を打つ。最近グールドのゴルトベルク変奏曲を聞いたが静かな空気に浸ることができた。私はヴィルヘルム・ケンプの演奏を好むがグールドも一世を風靡しただけのことはある。ケンプのステレオ盤ベートーヴェンのピアノソナタは感涙ものである。ブリュッヘン、マッケラス、ギーレン、コフマン、スヴェトラーノフ、グールド、ケンプ、どれも捨てがたい、孤独な日々の友である。
奥深い影を感じる音楽が 冬を凌いで春待てと言う



コメント
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