レスリー・ハワードのフランツ・リストピアノ曲全集が欲しかったのだが、先日ついに入手した。
リストの曲が約半分、リスト編曲のトランスクリプションが残りの半分収録されている。
大好きなメロディが豊富にある、シューベルトの編曲集から聞いている。
まず、「ます」から聞いたのだが無駄な装飾がなくいい感じだ。
次に聞いたのがシューベルトの「冬の旅」のピアノ編曲集。
耳に馴染んでいるメロディがピアノに移し替えられると何とも懐かしい。
「冬の旅」のあとは「さすらい人幻想曲」と「即興曲」。
フランツ・リスト特有の装飾が施されているが嫌みがない。
次に聞いたのがベートーヴェンの交響曲のピアノ独奏版トランスクリプション。
よくぞ複雑な交響曲の音を交通整理して、ピアノ独奏版に仕上げたものだ。
次に聞いたのが若き日のフランツ・リスト作品集。
リストは弾き手によっては余りにサロン風で嫌みに聞こえるのだが、レスリー・ハワードのフランツ・リストピアノ曲全集の演奏は乾いていて嫌味なところが全くない。
超絶技巧練習曲さえ、派手に聞こえず好ましい音響である。
日々の生活のBGMとして聞くならばこれほどご機嫌な音源も珍しい。
レスリー・ハワードはリスト好きの精髄だと言われることもある一方、技巧が中の上ぐらいで今一つとされることも多い。
私はこれぞ超絶技巧とこれ見よがしに弾くような、華やかな演奏を必要としていないので、レスリー・ハワードのフランツ・リストピアノ曲全集が今の私には最適に心地よい。
フルトヴェングラー・ザ・レガシーで廃墟に立つ指揮者の歴史的命運を味わう傍ら、レスリー・ハワードのフランツ・リストピアノ曲全集で、癒しを味わう。
そんなこんなで逆風の毎日を凌いで、今日を乗り越えている。
憂鬱な春の陽射しを浴びながらリストの森で珈琲をひとくち