開演7時の五分前に着き、滑り込みセーフでインキネンのマラ6に行く。
ピエタリ・インキネン指揮、日本フィル演奏。
一曲目はシベリウスの交響詩「夜の騎行と日の出」。インキネン、青年指揮者。
低音も高音もよく響く立体的な音で、鬱蒼とした北欧の空気から只ならぬものが立ち現われて、
走り抜けてゆく様子が肌で感じられる演奏。臨場感はCDとはまるで別物。
ステレオフォニックで短いがシベリウスらしさ満載で物語性のあるまとまった交響詩で
満足感ある。15分休憩の後、マーラー交響曲第六番「悲劇的」。
第一楽章、行進調が基調。
甘美な第二主題と行進が交互に繰り返される。躁鬱的感覚。
第二楽章も行進曲的だが抒情性と組み合わされる。時折音がばらけるときに崩壊感覚あり。
第三楽章はひたすら耽美的だが、感極まると悲劇の色彩を帯びる。
第四楽章も行進的だが歌心に溢れている。
30分の熱狂の後、消え入るように静まり返り、
最後に絶叫のような断末魔の叫びが響き渡って終わる。
拍手の嵐。インキネンは爆演系ではないが高揚感ある演奏。
今後期待のインキネンである。シベリウスとマーラーを得意とする
北欧系指揮者ではセーゲルスタムの感涙演奏がある。
インキネンはもっとスピーディーで機動力ある演奏。
頂いたチケットだが、シベリウスとマーラーの世界を堪能できて嬉しい限り。
サントリーホールはNHKホールより音響がよく座席が舞台に近い。
舞台を360度丸く取り囲んで座席が並んでいる。
老舗のNHKホールより高級感あり、快適。
こういう地域に日常的に暮らしている人は別世界の人のようだ。
CDとは別次元の臨場感に深く心打たれた。
行進と耽美性とが交差する意識の果てのマーラーに酔う