超人日記・俳句

俳句を中心に、短歌や随筆も登場します。

#俳句・川柳ブログ 

塚本邦雄歌集に苦戦

2021-02-12 07:11:14 | 無題
コレクション日本歌人選・塚本邦雄読む。
まず、帯が寺山修司なのがビビった。
寺山がファンだと公言してるのか。
めくってみると、何とも読みにくい。
わざと旧漢字を使っている。
和歌などの教養を必要とする。
読めない漢字、知らない花の名が出てくる。
こういう高踏なの、今の読者には不利ではないか。
ちょっと旧漢字などを直して、気になった歌を紹介する。
〇玩具箱のハーモニカにも人生と呼ぶ独房の二十四の窓
〇涙そそぐ木の夕影になびく藤きみは寂しき死を眠る蝶
〇殺りくの果てし野にとり遺されしオルガンがひとり奏でる雅歌を
〇掌の釘の孔もてみづからをイエスは支う風の雁来紅(かまつか)
〇ほほえみに似てはるかなれ霜月の火事のなかなるピアノ一台
〇ただ一燈それさえ暗きふるさとの夜々をまもりて母老い給う
〇はつなつの夕べ額を光らせて保険屋が遠き死を売りに来る
〇イエスは架かりわれはうち伏す死のきわを天青金に桃咲きみてり
旧漢字は便宜上訂正し、読み易く書き写した。
和歌の教養がないと読めない歌は外した。
寺山が愛読者だったのが分かる作風である。
ただし、寺山の短歌は何の前提なく今の人が読んでも分かるし、
より情景が生き生きと胸に刺さる。
歌力はすごいが、旧漢字に拘ったり知らない花や読めない字を使う辺り、
今の人に受けそうもない。文語短歌も正直現代人にはキツい。

十字架の息絶えるとき眼に映る花に静かな天の陽が差す
コメント (2)
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