超人日記・作文

俳句を中心に、短歌や随筆も登場します。

#俳句・川柳ブログ 

小説「ナジャ」の異様な眺め

2022-02-12 04:58:02 | 無題
シュルレアリスム文学もいろいろあるけれど、
アンドレ・ブルトンの「ナジャ」という小説が
飛び抜けておもしろい。
ブルトンの恋人となったおかしな女性ナジャが
ドアを次々と開けっぱなしにして動き回るような
奔放な人物で、ブルトンはもちろん周りは
とことん、振り回される。
けれども、奔走するナジャの見るもの、聞くもの、
雨どいに漆喰に廃墟に風見鶏と言ったすべての事物が
ブルトンの目にはふしぎにゆがんで見慣れない
革新的な眺めにみえる。
風景の断片を異常な恋愛が飼い馴らされない陶酔に
変えてしまう。
そういう、意識の変容が、そのままシュルレアリスム
であり、事実、ブルトンの「ナジャ」は、もっとも
その理念をいきいきと描き出した、代表的な
シュルレアリズム文学だと言える。
私が読んだのは、白水Uブックス版である。原著と同じく、
パリの各地の写真が、巧みに挿入されている。

奔放な台風の目のナジャが見た風景がみな変貌を遂げる
コメント
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