井上靖編著、「西行・山家集」読む。西行の人生を歌で辿っている。
①若い頃の歌
君が住む宿の坪をば菊ぞかざる ひじりの宮とやいふべかるらむ
惜しむとて惜しまれぬべきこの世かは 身を捨ててこそ身をも助けめ
ぬしいかに風わたるとていとふらむ よそにうれしき梅の匂ひを
②青年期・陸奥へ修行の旅
しらかはの関屋を月のもる影は 人の心をとむるなりけり
都出でて逢坂こえしをりまでは 心かすめし白川の関
たぐひなき思ひ出でばの桜かな うすくれなひの花のにほひは
③鳥羽法皇との別れと人思い・壮年期の頃
今宵こそおもひ知らるれあさからぬ 君に契りのある身なりけり
かかるよに影もかはらず澄む月を 見るわが身さへうらめしきかな
消えぬめるもとのしづくを思ふにも 誰かは末の露の身ならぬ
のちの世をとへと契りし言の葉や 忘らるまじきかたみなるべき
④崇徳院への鎮魂・讃岐詣で 熟年期の頃
松山の浪に流れて来し船の やがてむなしくなりにけぬかな
曇りなき山にて海の月見れば 島ぞ氷の絶え間なりける
よしや君昔の玉のゆかとても かからむ後は何にかはせむ
⑤陸奥への旅・晩年
年たけてまた越ゆべしと思ひきや いのちなりけり小夜の中山
竹馬を杖にも今日はたのむかな わらは遊びを思ひいでつつ
津の国の難波の春は夢なれや 芦の枯葉に風わたるなり
月寒の浜茄子の香も夢となり 別れの波も寄せる岸辺に
①若い頃の歌
君が住む宿の坪をば菊ぞかざる ひじりの宮とやいふべかるらむ
惜しむとて惜しまれぬべきこの世かは 身を捨ててこそ身をも助けめ
ぬしいかに風わたるとていとふらむ よそにうれしき梅の匂ひを
②青年期・陸奥へ修行の旅
しらかはの関屋を月のもる影は 人の心をとむるなりけり
都出でて逢坂こえしをりまでは 心かすめし白川の関
たぐひなき思ひ出でばの桜かな うすくれなひの花のにほひは
③鳥羽法皇との別れと人思い・壮年期の頃
今宵こそおもひ知らるれあさからぬ 君に契りのある身なりけり
かかるよに影もかはらず澄む月を 見るわが身さへうらめしきかな
消えぬめるもとのしづくを思ふにも 誰かは末の露の身ならぬ
のちの世をとへと契りし言の葉や 忘らるまじきかたみなるべき
④崇徳院への鎮魂・讃岐詣で 熟年期の頃
松山の浪に流れて来し船の やがてむなしくなりにけぬかな
曇りなき山にて海の月見れば 島ぞ氷の絶え間なりける
よしや君昔の玉のゆかとても かからむ後は何にかはせむ
⑤陸奥への旅・晩年
年たけてまた越ゆべしと思ひきや いのちなりけり小夜の中山
竹馬を杖にも今日はたのむかな わらは遊びを思ひいでつつ
津の国の難波の春は夢なれや 芦の枯葉に風わたるなり
月寒の浜茄子の香も夢となり 別れの波も寄せる岸辺に