超人日記・俳句

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#俳句・川柳ブログ 

<span itemprop="headline">宇野功芳と魂の名盤</span>

2011-01-03 00:42:05 | 無題

宇野功芳氏の「わが魂のクラシック」を読んだ。
主にLPレコードのライナー・ノートを収録したもので、読み応えがある。
特にワルター、クナッパーブッシュ、バックハウスなどを語らせたら、情熱的に、溢れるように言葉が湧き出て尽きることがない。
ワルター指揮のパツァーク、フェリアー独唱の「大地の歌」などは、いかに人生に執着と愛情を持って描かれているか、私の人生はこれで終わるけれども春になれば草花が尽きることなく大地を覆うことだろう、永遠に、永遠にという人生への惜別の情がいかに赤裸々に語られているかが熱心に解説され、読む者の心を打つ。
私の「大地の歌」の愛聴盤は、意外なことにハイティンクとコンセルトへボウの隠れ名盤である。
「わが魂のクラシック」では他にもブルックナー指揮者として日本では評判が高いマタチッチが、政治力とポピュラリティーの乏しさゆえに苦境に立たされているが、芸術家は真実のしもべでなければならないと語られる。
またクレンペラーはドイツ精神の精髄で、晩年の演奏は素晴らしいが、若い頃は情熱が空回りしていると語られている。
私が最近聞いたvocal symphoniesという企画盤のマーラーの「復活」の50年代のライヴ盤などは古雅で絶妙な音づかいだった。
クレンペラーのEMIのベートーヴェン交響曲全集は恰幅の良いスローテンポの究極の美音である。今度アンドロメダ社から60年代のライヴによる全集が出るが、同じフィルハーモニア管だけに期待が持てる。
「わが魂のクラシック」では、その他リリー・クラウス、シューリヒトなど宇野功芳氏の読者にはお馴染みの面々が言葉の限りを尽くして熱く評されている。
批評とはこのように書くものなのかと大いに参考になる。宇野功芳氏は時々指揮者を四柱推命で占ってみたり、ユルゲン・ユルゲンスという指揮者は名前だけで駄目だと言ってみたり、ずいぶん乱暴なことも書くが、LP時代のライナーノートに限って言えば、渾身の力作揃いである。
冬の休日にCDを聞きながら夜更かしするには最適の友である。
慎ましく光を放つ名盤が世に出てほしい春が来るたび



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