夏が来るたびに
海沿いの国道を南へ
僕たちは決まりごとのように
なにかを確かめるように
海沿いの道を
車を走らせ
ながら
潮の香りをタバコと一緒に
吸い込んで
海へ来たことを確認する。
海水浴場
岩場
波打ちぎわに散らばる
去年の思い出たち
今年も来た
と
背伸びをしながら
夏の光を
背中に受ける。
歌が流れる
カーステレオから
稲垣潤一の
「夏のクラクション」
♪海沿いのカーブを〜
君の白いクーペ
曲がれば 夏も終わる…
毎年同じフレーズを海を眺めて
口ずさむ
あの夏の日
僕たちは
白波が立つ沖を見ながら
行く夏を
惜しむように
海を見にきた。
ただ サンセットのその時間まで
言葉なく
心の中で会話する。
ジリジリと焼け付く暑さが
和らぐ
夏の終わりの夕暮れときを
待って
綺麗に沈む夕日が見えるビーチまで
僕たちは
車を走らせる