1980年 11月5日 に発売された
ひと晩たてば
スタジオアルバム
11枚目となる
「アジアの片隅で」
しばらく遠ざかっていた
岡本おさみさんとの
久々の競作。
レゲエのリズムが
この歌の重さをさらに加重させる。
アジアの片隅で…
我が国 日本の立ち位置
世界の中の日本
アジアの片隅にある
島国
日本。
折しもいい話も
良くない話も
飛び交う毎日
対韓国との摩擦
北朝鮮との拉致、ミサイル
核兵器等との問題
沖縄普天間辺野古の問題
アメリカとの貿易摩擦
中国との海洋進出摩擦
数えればきりがない
問題を問題視する
次から次へと
飛び交う気が重くなる
政治的ことも含めて
このアジアの片隅で
いろんなことが起こっている
そして
また、中東でも
キナ臭い問題が…
常に火種をかかえ
裏で戦争屋が暗躍するそんな
まことしやかな
話が、流れたり
ラグビーワールドカップ
開催国 日本。
日本のおもてなし文化に
感動をもらったり
このアジアの片隅で…
80年代に入った日本にも
そうした
世の中の流れの中に危惧する
思いを
岡本さんは
強烈な言葉を
コトバのグローブの
オンスを下げて
本気で殴りに来た。
少し平和ボケしてる
ぼくたちに…
右の頬へ
強烈な右ストレートを放った。
安穏としたラブソングに
あぐらをかき
優しさの世代を謳歌しかかっていた
その矢先、
ちょっと待った!
が
かかった形だ。
今更また、
闘争への道に
逆戻りなのか?
いやいや
少し待ってくれ、
日本はこれでいいの?
一国だけ平和を謳歌し
突き進んでいいわけ?
同じアジアにも
目を向けたら
目を背けないで…
他人事、無関心に
火をつけた
火種は
岡本おさみ
聴いてて
耳の痛いその
重たい
歌コトバで
ある。
アジアの片隅で
作詞 岡本おさみ
作曲 吉田拓郎
♪
一晩たてば
政治家の首がすげかわり
子分どもは
慌てふためくだろう
闇で動いた金を
新聞は書き立てるだろう
ひと晩たてば
国境を戦火が燃えつくし
子供達を飢えが襲うだろう
剥き出しの肋骨は
戦争を憎み続けるだろう
アジアの片隅で
狂い酒飲みほせば
アジアの片隅でこのまま
ずっと生きてゆくのかと
思うのだが……
ひと晩たてば
街並みは汚れ続けるだろう
車は人をひきつづけるだろう
退屈な仕事は野生の魂を
老けさせるだろう
ひと晩たてば
チャンピオンはリングに転がり
セールスマンは道路に
座り込むだろう
年寄りと放浪者は
乾杯の朝を迎えないだろう
アジアの片隅で
狂い酒飲みほせば
アジアの片隅でこのままずっと
生きてゆくのかと
思うのだが…
ひと晩たてば
秘密の恋が暴かれて
女たちは
噂の鳥を放つだろう
古いアパートの部屋で
幸せな恋も
実るだろう
ひと晩たてば
頭に彫った誓いが
崩れ落ちて
暮らしの荒野が待ち受けるだろう
甘ったれた子供たちは
権利ばかり主張するだろう
アジアの片隅で
狂い酒飲みほせば
アジアの片隅でこのままずっと
生きてゆくのかと
思うのだが…
ひと晩たてば
働いて働きづくめの男が
借りた金に
滅ぼされるだろう
それでも男は
政治などあてにしないだろう
ひと晩たてば
女まがいの歌が溢れ出して
優しさが叩き売られるだろう
悩む者と飢えたものは
両手で耳をふさぐだろう
アジアの片隅で
お前も俺も
このままずっと
アジアの片隅で
このままずっと
生きてゆくのかと
アジアの片隅で
アジアの片隅で
アジアの片隅で
お前も俺も…
アジアの片隅で…