彼女や、彼女らしき人ができてる男子は
お弁当をその人につくってきてもらってた、
朝登校して
校門のところで
教室に入るところで
下駄箱のところで
受け渡すところを目撃する
嫉妬と、羨望の眼差しで
奥歯はギリギリと音を立てて
その場を足早に通り過ぎるだけの
僕だった。
♪一番大事なものはなに?
決まっているよ友達さ
一番嫌いなものはなに?
おあいにく様 勉強さ
一番嬉しいときはいつ?
あの娘と二人でいる時さ
って歌いたいけど
弁当作ってくれるような彼女もいなくて…
卒業が近くなってくると
ん?あいつも彼女出来たの?
って…
内心焦るわけだよね
だってさ
圧倒的に女子が多い
商業科にいるのに
何故?彼女ができないのか?
別に僕は
ホモでもないのに…
そうなると
彼女出来ないもの同士がかたまって行動するから
余計に惨めなんだよねぇ
彼女とか
彼女らしき子から
弁当をつくってきてもらったやつは
クラブ活動に入る前に
教室の隅で、クラブの部室で
お手製の弁当をたべてるわけさ
それにもありつけない僕らは
学校うらの
食料品店でパンを買って食べるか
学校から少し行ったところに
学生御用達の店屋物食堂
「ビーバー」にいくわけだ。
その食堂は
いまでいう
コスパのいいところで
カツ丼
カレーライス
ラーメン
が安くて大盛り!
モテない僕らは
「おい!今日の昼はビーバーだ!」が合言葉。
「あーあ、またビーバーのカツ丼かぁ」
「いつになったら彼女から弁当作ってもらえるのかなぁ」
「その前に彼女つくれよ!」
「無理無理!」
そんな会話は日常茶飯事。
学校裏の食料品店では
焼きそばパンと
チェリオ500mのセットが定番。
ビーバーへ行くか
裏の食料品店でパン買うか
校内の購買部はすぐ売り切れるので
裏で買うしかなかった。
男子は少なかったから
結束が高くて
モテないやつ同士でよく
つるんで行動していたなぁ
人生やり直せるのなら
あの時に戻れるなら
やり直し効くのなら
高校生のとき
彼女をつくって
弁当作ってもらって
食べてる自分を経験したいなぁ
バレー部の彼女がいいなぁ
ひとつ年上で
…
色々条件考えながら…
やり直しできたらなぁ〜
彼女を作れて
彼女に
弁当つくってとお願いするのか
しなくても
彼女の方から作ってきてくれるのか?
どっちでもいいから
彼女から弁当を手渡され
一緒にお昼をクラブの前に食べる!
あーあ!
なんて素敵な場面なんだろう
♪一番嬉しいときはいつ?
あの娘といっしょにいる時さ〜!