首相、来月の総選挙決断 重要法案、廃案の危機(産経新聞) - goo ニュース
■「派遣法」断念、「地方創生」は成立方針
安倍晋三首相が月内の衆院解散に踏み切る意向を固めたことで、与野党は12日、残り少ない臨時国会会期中の法案処理をめぐり断続的に協議を続けた。与党は地方創生関連2法案を成立させる方針だが、対決法案の労働者派遣法改正案は事実上断念するなど、重要法案が軒並み廃案となる公算が大きい。(沢田大典)
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◆「審議状況にない」
「解散ならば全ての法案が廃案になる。落ち着いて審議する状況にない」
民主党の川端達夫国対委員長は12日、国会内で自民党の佐藤勉国対委員長と会談し、感染症法改正案など人道上必要な法案以外は審議に応じない方針を伝えた。
これに先立ち自民党の谷垣禎一、公明党の井上義久両幹事長は都内で会談し、「まち・ひと・しごと創生法案」など地方創生関連法案と、小笠原諸島(東京都)周辺での中国船のサンゴ密漁問題を受け、自民、公明両党が検討している違法操業への罰金を強化する議員立法を今国会中に成立させる方針を確認した。
地方創生関連法案はすでに衆院を通過し、19日か21日に参院で成立させることが可能な情勢だ。サンゴ密漁に関しては、自民党水産部会が12日、違法操業の外国船への抑止力を強化するため、現行の「400万円以下」の罰金を「3千万円以下」に引き上げる外国人漁業規制法改正案などを了承した。
また、2020年東京五輪・パラリンピックに向けて五輪担当相を新設する特別措置法案は13日に衆院を通過する見通しだ。自民党国対関係者は「目立った障害がないので19日解散でも成立できる可能性がある」との見方を示す。
◆女性推進も絶望的
一方、労働者派遣法改正案は事実上の成立断念に追い込まれた。与野党は12日の衆院厚生労働委員会理事会で、野党の反対で審議が停滞している改正案をめぐる今週の審議は行わず、感染症法改正案などの審議を急ぐ方針で一致した。
与党は当初、審議時間は十分確保されたとして12日に委員会採決に踏み切る構えだった。だが、首相が衆院解散方針を固め、改正案が廃案になる可能性が高まったことから、窮屈な日程の中、野党の反対を押し切って審議を強行するのは得策ではないと判断した。
重要法案の一つである女性活躍推進法案の成立も絶望的だ。12日の衆院内閣委員会理事会で自民党が14日の採決を提案したものの、民主党側が「台風のように波が高い」と反発した。参院内閣委員長が民主党議員という事情も影響している。カジノを中心とする統合型リゾート施設(IR)整備推進法案も同様だ。
12日の参院本会議では、改正土砂災害防止法と平成26年度の国家公務員給与を引き上げる改正給与法が成立した。だが、参院での今後の法案処理は見通せない。自民党参院幹部はこうボヤいた。
「衆院側が『あれやれ』『これやれ』と言ってきて、もうパニックだよ」