休みに関わりなく

　６日間は長いようだが、もうおしまい。のんびりだらだら過ごしてネジが弛んだので、大丈夫かなと思ったが、今朝はちゃんと六時半に眼が覚めた。不思議なことに仕事場に来て、定位置に座ると自然に身体が動き出す。幸い、毎年そうなのだが初日はさほど混まない。
　実は、６日間何もなかったわけではない。大晦日の夜、警察から電話があった。孤独死の方の病歴照会だ。半年くらい前まで不定期に通われていた方で、最近顔を見せないねと暮れに看護師と噂をしていたばかりだった。アルコール中毒の既往があり、断酒病院の入院歴のある方だ。狂った歯車は悪い方へ回り、仕事は見つからない、独り身の上兄弟は離れてゆく。最後の受診時にはどこか視線も定まらず途方に暮れた様子だった。おそらく鬱傾向があったのだろうと思い返す。何度ハローワークへ行っても駄目と、職探しもしていなかった様子だ。
　こうした心凍らせる現実をどう考えるかは様々で、しかも一言で表現できるものではない。大切なことはこうした現実を身近で体験したことがあるかどうかだ。オバマはそうした意味でリーダーに相応しい経験を積んでいる。貧窮を体験することは数日では不可能、数週でも難しいだろう。最低でも数ヶ月の年月が必要と思う。
　数値化は物事の分析に欠かせないが、人間的要素をそぎ落としてしまう。数字の裏に消えた世界を想像する力のない人間には、分析から結論を導くことを任せられない。逆に、目の前の現実で世界をなぎ倒すのは、視野狭窄に陥り方向を過つ危険がある。誠に大局的判断は難しい。
　今は未曾有の不況と同時に、未曾有の政治的危機にあると思う。そう思えば、自分のように仕事があってしかもそこそこ忙しい者は非常に恵まれているのだ。職員も同様に感じているようで、今朝は例年になく丁重な新年の挨拶を頂いた。