駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

他山の石 ドバイの凋落

2009年01月08日 | 世界
 まさに砂上の楼閣、ドバイが生ける廃墟になりつつある。「あなたの言った通りね」。と家内は言うが、言った本人はよく覚えていない。ただ、その時こんなことが続くわけがないと単純に思ったのだろう。それにしても、崩壊がこんなに早く来るとは、恐ろしいことだ。
 ドバイ自国には石油産出はほとんどなく、近隣のオイルマネーによる投資で、なんだか不思議な人工島や高層ビルが砂漠に出現している。そこに歴史的な必然性を見いだすことは難しい。金余りの生み出した浅はかな知恵の産物と思える。私のような経済知識のない町医者でも、おかしいと感じるのだから、知識と知恵がある人がちょっと冷静に考えれば、もう少し別の使い道があったろう。どうも成金というのはお金の使い方を知らない。内政干渉と言われるかもしれないが、目も眩む石油による収入をやがては(二十年?)石油が枯渇する将来のためにどのように使ったのか、使おうとしているのか、聞いてみたい。危機こそ好機と言われる、これを他山の石としなければ。
 麻生内閣は既に死に体。給付金を貰うかどうかさえまだ判断しかねる人に、一体どんなことの判断が可能だろうか。今度は矜持を捨てて有り難く貰い、何倍も消費しなさいですと。口から出任せの馬鹿馬鹿しさに愛想が尽きる。評価は忘れずにきちんとしたいと思う。
 
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減量も大変だが

2009年01月08日 | 医療
 肥満のメカニズムは相当分かってきたが、残念ながら体重をコントロールできるような薬はまだ市場に出てこない。
 当医院ではこのところ「あれ2kg肥りましたね」。「いや、注意されると嫌なので、来たくなかったんだけど、もう薬がないんでね」。という会話が繰り返されている。太りやすい人には暮れ正月の食って飲んでテレビ見て寝る生活はてきめんだ。ところが日頃太りたいとおっしゃる方はほとんど体重が増えていない。
 世に痩せるという本は溢れているが、太るという本は皆無と言ってよいほどだ。しかし実際には太りたいという人が痩せたい人の五分の一くらい居る。肥満が生活習慣病を招くとして、今や政府までが、メタボ対策に乗り出してきている。では痩せていれば良いのかと言えば、痩せすぎの人は打たれ弱く(病気からの快復力が弱い、抵抗力が弱い)、長命というわけでもなく理想の体型ではない。健康で長生きするには、ほんの僅かに太り気味が良いとされている。何事も中庸が良いようだ。
 太っている人を痩せさせるのは難しいけれど、本人がその気になればある程度可能だ。ところが太らせる方は本人がその気になってもなかなか難しい。痩せている人はカロリーの多い食物をたくさん食べることができないのだ。運動負荷もすぐ疲れてなかなかできない。
 できることを我慢することはなんとかできても、できないことをやるのは難しい。たぶん一日をコップ一杯の水で過ごすより一日で20lの水を飲むことの方が大変だろう。ちょっと飛躍した例え話で正確かどうか分からないが。痩せた人の話を聞くと天丼や鰻丼を全部食べるのは苦しいそうで、太った人が半分残すよりも大変そうに聞こえる。しかしまあ、少数派のせいか、ドタリと倒れる派手さがないせいか、痩せすぎは今のところマスコミにあまり注目されていない(低栄養は快復力や抵抗力を落とすので、専門家の間ではこの数年注目され、入院患者や寝たきり患者では対策が考えられ始めている)。
コメント (2)
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