寛容と忍耐と聞いて懐かしいと感ずる方がどれくらい居るだろうか。古色蒼然と感じ、貝原益軒の言葉かと思われる方も居られるだろう。
しかしこれはついこの間、中学生だった私にもはっきりと記憶がある昭和三十五年、池田勇人首相の打ち出した政治姿勢の言葉だ。
あれから五十年、もう一度寛容と忍耐が求められていると強く感ずる。誰に、それは物事を為そうとする人達にだ。
痴呆症、今は認知症というのだが、この疾患の中核症状は記憶障害で、それを診断する補助試験がいくつかある。これを疑わしい患者さんにではなく、政治家やマスコミ関係者にやってみたい。どんな結果が出るだろうか。勿論、じゃあ一般大衆はどうかと斬り返されるのは承知の上だ。
人間は忘れっぽい、忘れなければ生きづらい面はあるのだが、過ぎれば即ち認知症のそしりは免れない。ついこの間の事も忘れ、軽薄な言辞を弄する政治家やマスコミ人がなんと多いことか。
寛容と忍耐、心に深く響くこうした言葉に思い至った先達は偉い。先ず、町医者が今一度心に刻みたい。
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