駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

気分悪いのは

2010年04月15日 | 診療
 午後八時、夕食も終わり書斎でほっと一息ついていると電話が鳴る。誰かな、まさか末期癌のTさんじゃないだろうな、若い男の声で「健康診断受けたいんだけど、明日何時からやってる」。なんだ問い合わせか「もう、診療時間は終わりました。そういう電話は昼間して下さい」。・・・「なんだ、その言い方、気分悪い」。なんだとと血圧が上がったが「電話は緊急の患者さんのために繋いであるんです」。「ふーん自宅に繋がるのか、どうせ出ないと思ったんでね」。堪忍袋の緒が切れそうになったが「明日は八時半から十二時、午後三時から六時です、よければ来て下さい」。と電話を切る。習い性となる身に付いたサービス精神か、怒るのは止めた。非常識な人に悪く言われてもかまわんのだが、何を言われるか分からん。それも詰まらない。
 ネットで調べるか、イエローページを見れば分かることなのに、電話はある意味暴力なのを知らない人が多い。
 私は見かけも声も年齢より若いので、残念ながらドスが利かない。吉村昭のように刑事面刑事声だと良いのだが。
 まあ小説家ならこんな電話が掛かれば喧嘩になるか相手にせず切ってしまうだろう?。こういう人達に丁寧に対応し、諭すようなことができれば、たいしたものだが、とてもそこまでは悟りきれない。
 まあ微妙な問題で、大袈裟だが、権利のはき違えというか、何かが足りなくなってきている。花はどこへいったと唱われたが、なくしてはならないものが失われつつある。間違いなく良貨は残っているのだが、悪貨が良貨を駆逐しつつある気配に気分悪いのはこちらだ。
コメント
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