駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

なぜかニーナシモン

2010年04月14日 | 趣味
 稀だがニーナシモンを聞くことがある。友人のF氏が教えてくれなければたぶん生涯聞くことはなかったろう。彼は大手電機メーカの東南アジア進出の先兵として、インドネシアやタイなどに10年近く滞在し、工場長として頑張った経歴の持ち主で、今は地元中小企業育成を手助けしている。私などとは違った現地体験に基づく国際感覚の持ち主で、同じように見えて大きく異なる東南アジア諸国の国情を聞かせてもらうのは楽しい。高い評価や褒め言葉ばかりではないので、ここに書くのは憚られるが、あそこは駄目とにべもない否定の国がいくつかある。それでもなどと本からの知識を披露しても、笑って手を横に振る。勿論それは企業的見地からの意見で観光となれば別なのだが。
 彼がインドネシアに単身赴任していた時、CDショップでニーナシモンを見付け、手を伸ばそうとしたら上から手が出てそれを摘み上げた人物が居た。振り向くと白人で、何だあんたもニーナシモンが好きかというので、家に呼ばれてご馳走になったエピソードを聞いた。
 そんなわけで秘かにニーナシモンのCDを取り寄せて聞いてみた。驚いたことに何というか美声とはほど遠い不気味とも言えるような唸り声に椅子から飛び上がりそうになった。人の趣味は様々だから、余計な詮索は無用だが、不思議な気がした。日本と家族から遠く離れ暑いインドネシア辺りで、日暮れてナシゴレンにビールを飲んでいるとこうした歌声を聞きたくなるものだろうか。美しいとは感じないが、何かがあるのは確かで以来時々ニーナシモンの胸底に響く歌声を聞いている。
コメント
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