出し抜けのしらけ選挙に寒波で、なんだこれはという年末になっている。患者さんが懐も寒いですからと苦笑いをする。
毎年、この時期になると薬品メーカーがどっさりとカレンダーや手帳を持ってきてくれた。昨年やや少ない印象があったのだが、今年はめっきりと減った。いつも塩野義製薬のカレンダーを診察室では使っていたのだが、持ってくる部数が減ったどころかもう作っていませんとのこと、やむを得ずちょっと大きめだが他社のカレンダーを使うことにした。
診察室、受付、詰め所、処置室に置いて、職員が一つ一つ持って帰っても十五も二十も余ったものだ。年末に段ボール箱に詰めて待合室に置き、一人一つお好きなものをお持ち下さいと分けてきた。それが大人気で小一時間で捌けていた。それを目当ての患者さんも出てきていたようだ。中には図々しく儂に二つ取っといてくれなどという欲張り爺さんも居て受付も困っていた。「どうせ、貰いもんだろ」というのがその自分勝手な理屈なのだが、そういう人には差し上げたくない。一人一つを譲らないように言っておいたのだが、今年は恐らく余るカレンダーは十あるかどうかなので手にした人は運がよい。
製薬メーカーにどんな風が吹いているかは知らないが、好景気でないのは確かで、思わぬ所まで経費節減が顕れてきた。私は碌に見もしないで捨てられる豪華なパンフレットや、講演会の謝礼や御馳走を削ればよいと思う。カレンダーを止めましたなどは情けないと思う。