三十代女性の出産が増加と報道されている。どのような背景があるのだろう。少子高齢化に対し、単純に出産数を伸ばそうと訴えるのは、わかりやすいけれども、具体的な対策には多角的な調査分析が必要だ。政治家は一見分かりやすいと有権者に訴えやすいため、一つ憶えで大声で繰り返すから、釣られて短絡思考に陥らないようにしたい。人口動態というのは予測しやすい問題で、現況は十年二十年三十年前から予測可能だったことで、政府政治家はまず十分な手を打ってこなかったことを反省して貰いたい。
一般内科医としては生物医学的には三十代の初産には色々な不都合があるとされてきたけれども、それが平均寿命が延びた現在も事実かどうか知りたい。明らかに独身者が増加しているが、その理由がよく言われる収入だけの問題かどうかも知りたい。それだけではない気がしている。セクハラや性犯罪を取り締まるのは良いけれども、処罰が適切かどうかも気になるし、実は性に絡んだ犯罪はどこか底の方で妊娠出産にも結びついているのを知って知らない振りがされていると思う。性をセクハラや性表現ばかりに捕らわれて問題にしていては不十分と指摘したい。
目先のことで動く人達の関心に敏感でそうした人達の歓心を買うように巧みに戦略的に動く政権はこうした問題を掘り下げているのだろうか。外堀を埋め、口に出さないが本丸の九条改変を視野に入れて、そればかりに集中しているのではないだろうなと申し上げたい。
出産増加は少子高齢化に重要で欠かせぬ対策かも知れないが、それでは労働力不足解消に間に合わないのは目に見えている。まずこの五年十年をどうするのか、はぐらかさないで答えて戴きたい。しかりやっているとかきちんとやっているは答えになっておらずお得意のまやかしと申し上げたい。かなりあるいは相当調べてあるはずで、選挙向けではない結果が出ているのではと推定する。こうした問題は与野党を問わない、選挙対策主体の政治家の言動はきわめて遺憾、国民を舐めているのではないか。