寒い日には草履を懐に入れて暖めておく。此奴できるなと信長に思わせる気遣い、まあこれには取り入ろうとする下心も見えて全面的には支持しかねるが、学ぶべき接遇の心得だろう。
冷え込む日には聴診器も冷たくなり、ちょっと手で暖めて冷たいですよと言いながら聴診しているがそれでも患者さんによっては冷やっこくてびくっとされる人もおられる。実は手も冷たくなり触診の時には気を遣う。寒い日に手や聴診器を暖める何か良い方法はないだろうかと看護師に聞いても名案が出てこない。どうもさほど真剣に考えていない様子だ。
何か良い方法はないだろうかと思いながら、特別寒い日のことだけなので今まで来てしまった。さて藤吉郎だったら何か名案を出してくれるだろうか。
夏は逆に汗だらけの腹部を触診し、患者さんに申し訳ありませんと言われる、それで差し引きゼロに出来るものではなく一工夫必要だ。ちなみに空調はそこそこ効かせているのだが、空気の入れ換えにほんの少しだが窓を開けているせいか冷え込むと十分には暖まらない。
どうも並の人間は至らない、これで三十年通り過ぎてしまった。