将棋の第74期名人戦は四勝一敗で佐藤天彦八段が羽生名人に勝ち、新しい名人が誕生した。一般紙の扱いは思ったほど大きくなかったが、主催紙(朝日、毎日)ではたぶん大きく報道されているだろう。
ネットで見ると羽生さんも白髪が目立つようになり、感想戦の写真を見ると年を取られたなと思った。どうも羽生マジックが出なくなった。それに天彦には気後れもなさそうで、マジックが効きにくい感じがする。素人目には中盤までは羽生の方がわずかに有利というか戦いやすい戦形になったように見えたが、逆にそこから天彦が巧みに身を交し体を入れ替えていったような印象がある。6五角で後手が痺れたように見えたのは素人の感想で、打たされたのかもしれない。
天才も45歳、米長は人生経験が役立つようなことを言っていたが、そうばかりではないようだ。嫌が身を守ることもある。勝負の世界では人生経験で嫌と言わなくなって紙一枚強くなる人と弱くなる人が居るようだ。
サッカーが好き将棋が好きと言っても、技術的なことはプロに及ばないからどうしても人間的な視点が出てくる。ファンにはそこが面白い。実際そうした要素もあるのだから堪らない。これがきっかけで将棋界も一気に世代交代が進むだろう。三十台で頑張るのは渡辺竜王だけになるかもしれない。勿論、四十台はまだまだ踏ん張ると思うが。