昨夜寝しなに川本三郎さんの本を読んでいたら、友人の池内紀さんから初老の一人暮らしの心得として、医者と親しくすること(その通り)、適度な運動をすること(確かに)そして四十代の女性と親しくすること(?!)の三つを教わったと書いてあった。最後のアドバイスを面白いと川本さんは書かれているが、正直どうも私には分かりかねるというかそうした年頃の親しい女性が居ないので、それは自分には難しいと思った。羨ましいことに川本さんはそれを実行されているというか出来ているらしい。お仕事柄、そうした女性と知り合う機会が多いのだろう。
しかし四十代というと昔なら大年増なのだが、今の四十代の中には若々しい女性も多く、池内紀さんにそうした印象はないが、ちょっと生々しい感じがして、枯淡の境地とは違うようにも受け取れる。
仕事柄四十代の看護師の知り合いは多いが、親しいというのとはちょっと違う。そういう才能に乏しいようで、仕事の話はしてもお互いに忙しいせいもあって世間話は殆どしない。それと、神経質になり過ぎかもしれないが、下手な軽口をセクハラと受け取られてはと褒めたりからかったりしないようになった、誠に詰まらない。その代わり七十代の女性と親しくする機会は結構あり、枯淡の境地を突き抜けた本音を語り合っている。言いたいことを言い合っても傷つかない強さと人生経験があるから後味がいい。いつも意見が一致するわけではないが、良いもの良いこと汚いもの卑劣なことを見極める眼力があって外連味がないから貴重な友達なのだと、池内さんのアドバイスを敷衍して気付いた。