いくつになっても、成る程そうだったのかと脳味噌に染み込む新知見がある。よく目を通すブログで褒めてあったので、ためしに読んだのが佐々木毅の「宗教と権力の政治(講談社文庫)」だ。今までもやもやのしてよく分からなかった事柄が霧が晴れるようにすっきり理解出来た。こうした脳に染み込む読書は久し振りだ。今までこんな根本的なことも理解せずに、あれこれ偉そうな事を言ってきたなあと冷や汗が出た。
この本を読んで中世の世界を理解する力が付いたと思う。もとより私の世界史の知識など微々たるものなのだが、それでも中世というと進展のない宗教の時代で何だかよく分からないなあという印象を持っていたのだが、この本を読んで成る程そういう構造になっていたのかと突然視野が開けた。
政治についても、権力というものの理解が進み、格段にその構造と意味が分かるようになった気がする。二十代に、この本を読んでいれば大袈裟でなくちょっと人生が変わっていたような気がする。尤も、知的な理解は行動を抑制してしまうところがあるので、そうだったら良かったかどうかはわからない。