駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

公開情報の広報と解説を

2013年03月21日 | 町医者診言

      

 「原子力規制委員会が外部の専門家を集めて設置している検討会のメンバーのうち少なくとも15人が、電力会社などから寄付や共同研究費などの資金提供を受けていたことが分かった」と報じられている。数百万円以上の資金提供を受けていれば、たとえ直接検討内容に関わらない目的の資金であったとしても、中立性を保つのは難しくなると思う。また本人が潔白と主張しても、その信憑性に陰りが出てしまう。

 びた一文も受け取らないというのは極端非現実的なので、必ず全て公表して貰うことが公正性確保への第一歩と思う。

 一年ほど前から禁止され、今はなくなったが、医師は薬品メーカーから世に言う接待を受けてきた。私の場合は時々食事を御馳走になった。薬品メーカーが意味なく接待をするわけはなく、露骨直接の依頼はなくても何ヶ月何年かの内にじわりと効かせて、売り上げ増を意図したものなのだ。私は使いたくない使わない薬のメーカーの御馳走は断るようにしてきた。そうでないと駄目いりませんと言いにくくなる。同じ心理が多少ではあっても検討会のメンバーにも働くと推定する。

 報道機関はどのような情報が公開されているかを国民に知らせるのも大きな仕事になってきていると思う。実は情報が公開されているという情報が大切で、それが密室不正偏向の抑止や改善に繋がる。生活に追われる大多数の国民には情報を探し説欄する余裕はないけれども、情報が公開されているという報道は、誰もが知りうることを当事者に知らせ密室性から来る不正偏向抑止になるであろう。

 これからは公開情報の評論というか解説を専門の仕事とする人達が出てきてもいいと思う。というのは複雑で多様な内容は十五分程度で理解評価できるように調理して貰わないと、普通の人にはわからずじまいになるし、売らんかなのワンフレーズ要約では正確な内容は伝わらないからだ。

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花に嵐で失う

2013年03月20日 | 身辺記

        

 「先生、ちょっとお話があるのですが」。 

 ええ、まさかと固まる。

 「主人がMに転勤になったので、お仕事辞めさせて頂きたいのです」。

 「ああ」。

 「先生にもみんなにも良くして頂いたので、とても残念なのですが」。

 「お子さんも転校するの」。

 「はい」。と息を飲んで、言葉が途切れる。

 「わかりましたよ。いつまで働ける?」。

 「来月半ばなんですが、必要ならもう少し出られます」。

 たった一枚の辞令で組織は人を動かす。家族は一緒に居た方が良い。「とても、残念だけど。半ばまでで、いいよ」。

 誠実で、丁寧で大人の対応が出来たあなたを失うのは、つらい。

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目が開かれるニュース

2013年03月19日 | 小考

         

 昨夜は嵐だった。どうも春をもたらす嵐だったようで、今朝は新芽のまぶしい家家の庭木を眺めながら駅まで歩いた。

 WBC日本がプエルトリコに敗れた。残念だがプエルトリコは強かった。山本監督が選手は良くやったと言っているが、山本監督こそよくやった。ご苦労さまと言いたい。

 専門的に分析すればWBC日本には力不足未熟なところがあったかもしれないが、アメリカまで行った。外へ出たのは非常に意義深いと感じる。内向き日本を転換させる一助になった。プエルトリコは優勝しそうな勢いだ。アメリカ日本を連破し、優勝したら本国のお祭り騒ぎは凄いだろうな。

  もうひとつ目が開かれたニュースは一万メートルの深海にも生物が居るのが見付かったことだ。一万メートルの深さでは1000気圧、つまり1cm2に1トンの圧力が掛かる、そんな場所にまばらではあるがカイコウオオソコエビなどという端脚類が生息しているとのことである。

 カイコウオオソコエビさん、あなたはなんという物凄い生物なんでしょうと一度話を聞いてみたい。光も音もなく、酸素だってほんの僅かな濃度のはず、何を食べてどうやって繁殖しているのだろうか。有性生殖とすれば数少ない相手を見付けるのは至難の業のはず、それこそ海底砂の上で三年も四年も千載一遇の機会を待っているのだろうか?

 火星に生物生存の跡、木星の衛星に生物がいるかもなどと聞いて、何を馬鹿なことをと思っていたが、どうも垢で視力聴力が衰えていたようだ。  

 

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マジックの効かない人

2013年03月18日 | 人物、男

           

 今期の将棋NHK杯戦はまるで仕組まれたように最強者同士、羽生三冠対渡辺竜王の決勝戦となった。結果、渡辺竜王が羽生マジックを平然と受け流し、踏み込んで勝利し初優勝した。

 羽生三冠はNHK杯戦四連続優勝しており五連続優勝(25連勝)が掛かっていたのだが、渡辺竜王がそれを阻止した。何となくほっとした(羽生ファンには怒られるが)、というのは、解説の藤井九段がもしNHK杯戦五連覇(25連勝)すれば、それは人類が滅ぶまで破られることのない記録だろうと言ったからで、そんな恐ろしいことは目撃したくない気がしたからだ。

 渡辺竜王は唯一人羽生三冠に勝ち越している棋士で、羽生マジックが掛かりにくいようだ。これが如何に凄いことかは、将棋をご存じない方には説明しにくいのだが、羽生マジックというのは極く僅かに不利になった時に、相手がどうすれば有利を拡大あるいは有利を保てるかがわかりにくい局面に誘導する能力で、多くの棋士は勝利への道を歩んでいたら突然広い荒野が出現して方向を間違えてしまうのだ。

 羽生さんは天才としか言いようのない人だが、その人となりまではよく存じ上げない。一度お見かけしたことがあるが、天才のオーラというか凄みを漂わせておられた。渡辺さんは「妻の小言」を通じて多少私生活が垣間見え、飾らない正直で鷹揚なお人柄に親しみを感じている。

 藤井九段の解説は呟くように、味わい深い内容を楽しく語られるもので、決勝戦にふさわしいものだった。二天才に藤井九段がこの手はないと解説した手を指され、面目を潰されそうになったが悪びれず、次に展開されたのは感じがよかったと申し上げたい。

 司会で聞き手の矢内さんは、多分今期限りだろう。NHK杯戦の聞き手を務められるうちに柔らかく綺麗になられた。おじさんはどうぞ良いご縁が、と余計なことを申し上げたい。

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キメラ的存在を自覚

2013年03月17日 | 身辺記

          

 以前、自分の中の父由来遺伝と母由来遺伝とが絡んで困ると書いたことがあった。最近、ますますそれを実感する。似た者夫婦の子供の方にはこうした悩みと言うか困り事はないのかもしれないが、水と油夫婦だった両親の子供である私は、なかなかマヨラーとはいかないのだ。力一杯振れば中々の味にはなるのだが、オイルアンドビネガーは放置しておくと二層に分かれてしまう。

 そうした遺伝的相克に加え、過ぎ越し方も左翼が重いのに右旋回をして不安定なのだ。若い時は純情で正義感に溢れ、学生運動の最末席に坐していた時もあった。今も心情的には革新的なような気がするが、妻子を持ち思わぬ高収入に恵まれると身体的には保守的な兆候が出てきてしまう。

 若い時の思いなど忘れてしまう人や内に潜む相克など気付かない人も居るだろうが、前期高齢者になっても私のようにキメラ的存在の己を噛みしめる人も多かろう。

 年を取ると億劫怠惰になり、身体の節々が痛くなる。まあそれはやむを得ないとしても、心のまとまりが付きにくいのは困る。それを楽しめる心境になりたい。

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