駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

目から鱗が取れる本「資本主義の極意」

2016年01月26日 | 

         

 佐藤優という人が居る。なんだか物凄い勢いで原稿を書いている。書店に行けば必ずといってよいほど目に入る著者だ。西郷さんのような特徴のある顔をしておられるので、テレビや雑誌で写真を見た方は記憶されているだろう。外務省の外交官時代、鈴木宗男議員に絡む事件で起訴され有罪が確定し、そのため失職している(本当に有罪と言えるかは微妙なようだ)。

 外務省失職後は文筆活動に転じ、多彩数多くの本を著している。歴史政治経済に膨大該博な知識を持ち、偏りの少ない論説を展開している。既に何冊かを読んだことがあり、ある程度参考になると思っていたが、NHK出版の「資本主義の極意」という本を読んで目から鱗が取れる気がした。元より私に歴史政治経済の知識が足りないせいもあろうが、日頃考えていたことのすっきりした見取り図を与えられた気がした。極意という著書名は、必ずしも当たっていないが、これを読んでこれからどうするかを考えるという意味では当たっている。

 この本の中にも出てくるが反知性主義が席巻する日本でどう生きてゆくかを、考えさせられた。反知性主義と言うのは私には最近まで馴染みのなかった言葉で、文字通りに捉えていたが、そんな考え方もあるかでは済まない大きな勢力を持っている。反知性主義に掛かれば、恐るべき知識と能力を持つ佐藤優氏もぼそぼそとしゃべって気にくわないとか、ギョロ目で賢そうでないといった評価で切り捨てられることになる。

 まあしかし、半ば幻想でなんとか楽しく生きようとしている者には厳しい本ではある。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

酷い目に会った

2016年01月25日 | 旨い物

            

 今日は診察室の暖房が中々効かない、それだけ冷え込みが厳しいのだ。かじかんだ手でキーボードを打っている。

 時々高級な天麩羅屋に行く、出来たばかりの頃から年に一二回通ってきた。二三年くらい前から軌道に乗り、高価だが美味しいということで、繁盛し始めていた。1年前に行った時は女将さんも垢抜け、大将に助手も付き、東京の名店に負けない力を感じたのだが、たった一年で変わるものだ。

 どうも予約の段階で、夜が二部制で午後八時からというのが気にはなったのだが、八時数分前に行くとお待ちしていましたではなく、少々お待ち下さいと狭いトイレの横の中待ちに坐らされた。坐らされたといっても坐れたのは女房だけで、既に坐っていた先客が二人居たので私は通路に立たされる羽目になった。五分ほどして更に二名入ってきたので、三人で突っ立って待つことになった。七八分おきに女将が申し訳ありません、もう少々お待ちをと謝りに来る。二十分ほど待ったところで、後ろの客が何処か他の所で飲もうなどと文句を言い始めたら、大将が申し訳ありませんと謝りに来た。一体どうなっているんだろう。食べている客には八時までですという説明がしてないような雰囲気で、通路に立って待っている客を意に介さず話し込んでいる。漸く席に座ったのが八時三十五分、待たされてお腹が空いているからさぞ旨いはずの天麩羅が、店が違ったように美味しくなかった。

 値段のことは言いたくないが、1年前は一人一万円で少しお釣りが来たのに、今回はさんざん待たせて一万円を超えていた。帰り道、女房が「もう、来ない」と言う。儂も同感。鄙には希と贔屓にしていたのだが、前回垢抜けたと褒めた女将に品が無くなった感じもした、がっかり。

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

寒波襲来、寒さが身に凍みる

2016年01月24日 | 小考

               

 寒波襲来で日本列島が冷え込んでいる。北米も大雪のようで、冬将軍が温暖化する地球を操作しようとする人間に、自然の威力を思い起こさせているようだ。寒かった半世紀前、氷を割りながら登校した記憶を持つ同年配の患者さんには冬は寒くなくちゃと言う人も多い。生物には馴染んだ季節が骨の髄まで染み込んでいる。

 一億総活躍という反対しにくいキャッチフレーズが踊っている。一億総活躍が本当に実現できればそれに反対する人は居ないが、具体的実現可能な政策がなければ羊頭を掲げて狗肉を売ることになる。一億の半数を占める女性の活躍を謳っていたはずだが、未だ未だとても大活躍とは言えない。聞かれれば、口から泡を飛ばして些少な変化を数え上げるだろうが、実感とは程遠い。言葉を踊らせる言い回しが有効なのは、それに惑わされる人が多いからだ。高々数年の軌跡経緯を忘れず、遡って今の世の動きを捉えねば、間違いが起きる。 

 暖の有り難さを思い知る冬、北国の人は雪の風呂に南無阿弥陀仏と沈んでおられるだろう。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

イランに勝ったが、カツには問題も

2016年01月23日 | 町医者診言

           

 サッカーU23がイランに延長の末3-0で勝った。90分は五分五分で厳しい戦いだった。こうした試合展開は後半以降点を取った方が圧倒的に有利になる。後半何度もピンチがあったが櫛引の好セイビングと相手のミスキックでゴールを割られずに済んだ。延長前半、室谷の素晴らしいセンタリングを豊川が鮮やかに決め、これで流れが日本に来た。延長後半中島のスーパーゴール2本で駄目押しで勝つことが出来た。

 勝てたが幾つか日本の弱点が浮かび上がった。キーパーは良いのだが、バックがまだまだだ。守備力を高めなければならない。櫛引は素晴らしかった。決して評価の高いGKでは無かったが、選んだのは手倉森の慧眼と思う。フィードがもう一つ、フィードが良くなればA代表で呼んでも良いくらいだ。

 ボロ儲けに目が眩む五トンで80万円の廃棄冷凍カツ、多分これを末端では5000万円?くらいで売ったと思う。ちょっとおかしいと思うのは廃棄物でも堆肥に回すとすれば5トンで80万円は高いのでは、廃棄の値段が既におかしい。

 ここには二つの大きな問題がある、廃棄とされた食物を売ってボロもうけした罪の他に廃棄とした基準取り決めの曖昧さにも問題がある。要するにまだ食べられる物を廃棄としてしまう杓子定規だ。明記して食べる方に判断をゆだねれば、事故は避けられるだろう。現に事故があったという報告は無いようだ。まあ、これはデパ地下閉店間際安売り常連客の理屈かも知れない。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

老後は一人の方が良いか?

2016年01月22日 | 人生

                             
 

 ネットで一人暮らしの高齢者は家族と同居している高齢者よりも生活の満足度が高く、悩みが少ない。という大阪府門真市の医師の調査報告を読んだ。

 そんなものかなともそうかなとも思った。

 家族と同居する人の満足度が低い理由について、「家族への対応に苦慮するため」と分析している。ただし、満足度の高い1人暮らしの条件としては、(1)自由で勝手気ままに暮らせること(2)信頼できる同世代の友人や親類が2~3人いてたまに話ができること(3)住み慣れた土地に住んでいることなどがあるようだ。天涯孤独とは違う。そして満足度の差は73点と68点でさほど大きなものではない。

 患者さんを診ていると親子(母親と娘や息子が殆ど)では確かに時々波風が立つようだ。夫婦の場合は様々だが、どちらかというと妻の方に負担が多く悩みがある場合が多い、よく愚痴を聞かされる。そのせいか、夫を亡くしてもすぐ立ち直って元気に暮らされている女性は多い。

 確かに一人であれば自由気ままで、好きに暮らせるので、その方が良いのかも知れない。自分の場合はどうだろうかと想像してみる。旅先でも日常でも、家内とは結構意見が違い喧嘩をするが、誰も居ない家に帰るのは寂しい気がする。何よりも記憶を共有する存在は大きい。まあ程度問題だが、苦労やストレスは無ければいいというものではなさそうだ。

 果たして、この調査結果は普遍的なものだろうか?。人それぞれに人生がありどちらが良いというものではないのかもしれない。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする