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私の愛聴盤 (第97回)

2016-10-09 | 私の愛聴盤
第97回はアンドリュー・ヒルの「ブラック・ファイヤー」です。
「BLACK FIRE」 BLUE NOTE BLP 4151
  
1. PUMPKIN
2. SUBTERFUGE
3. BLACK FIRE
4. CANTARNOS
5. TIRED TRADE
6. McNEIL ISLAND
7. LAND OF NOD
JOE HENDERSON(ts) ANDREW HILL(p)
RICHARD DAVIS(b) ROY HAYNES(ds)
録音 1963年11月8日

アンドリュー・ヒルのブルーノート・レコードにおける最初にして最高傑作である1枚で、これを支える3人も当時から最高の名手でした。
このアルバムは、メロディー、ハーモニー、リズムが微妙に絡み合ってなんとも不思議な世界が展開されています。
リズミカルで独特のハーモニーから成る全曲が自身のオリジナルで占められており、これに録音当時、頭角を現してきたジョー・ヘンダーソンと、確実な音程を刻むリチャード・デイビス、それにロイ・ヘインズの特徴あるドラミングが加わり、一層充実した内容となっています。
アルバムの最初を飾る「パンプキン」、面白いメロディー・ラインを持つこの曲は、単純な4拍子の構成ではなく小節数も文字で言う字余り的な構成の変化に富んだ内容で、凹凸のあるメロデー・ラインが何とも言えず最初から興味深く聴き入ることができます。
ピアノ・トリオで演奏される「サブターフュージ」は、ピアノが鍵盤楽器であると共に打楽器の要素を備えていることに納得の1曲です。
後半でソロ・スぺーズが与えられるロイの切れ味鋭いスネアとハイ・ハットの演奏も聴きものです。
タイトルとなる「ブラック・ファイアー」は3拍子の曲で、ヒルのプレイは独特の間を持っています。
また、アドリブに入ると3拍子は何処へやらで、変調子による複雑なリズムを持ったように感じる不思議な曲です。
「カンターノス」はジョー・ヘンの豪快なテナー・サックスによるテーマの提示から始まりますが、それに続くヒルのピアノは、テーマの断片を散りばめながら曲を徐々に解体していく構成が見事で、このトラックがアルバムのハイライトのように感じます。
5曲目の「タイアード・トレイド」は2つ目のピアノ・トリオによる演奏で、こちらはこれまでとは変わってヒルの情緒的な一面を聴くことができます。
スローテンポの導入部から始まる「マグニール・アイランド」は、ドラムスを休ませて、ジョー・ヘンのバックでリチャードのアルコが効果的に使われています。
最終曲の「ランド・オブ・ノット」はラテン・リズムを取り入れたリズミックな曲で、途中フリー・リズムの部分もありますが、そのバックでは常にヒルのパターン化した「タ・タッ・ター」というメロデーのサポートが効果的です。

このアルバムは50年以上前の演奏ですが、ここで繰り返し聴いても斬新で、常に新しい発見がある好盤です。

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