よく『どうして霞ヶ浦と琵琶湖にタナゴが多いの?』って聞かれます。理由は簡単です。この二ヶ所は農林水産大臣が海区と言っているからです。
我々が遊漁料を支払うのは漁業法によるもので、その『漁業権の定義』の中に『第5種共同漁業 内水面(農林水産大臣の指定する湖沼を除く。)』があります。そして、その『農林水産大臣の指定する湖沼』が霞ヶ浦(北浦も含む)と琵琶湖です。要はこの場所では遊漁料を徴収できないのです。ご存じの通り、海釣りでは遊漁券を買う必要がありません。砂浜などでキスを釣っていて金取りのオヤジ(漁協員)が来たりしませんよね。これと同じ事です。
遊漁料の徴収は、ほとんどの内水面(淡水域)でしかも放流をしている事を条件に遊漁料を徴収することが出来るのです(本当は『増殖義務』ですから手段は『放流』じゃなくても良いのですが)。ところが、琵琶湖と霞ヶ浦は内水面ではありますが、あまりにも面積があり過ぎるので海扱いとなっているのです(海区と言います)。よって、たとえ漁協が放流しても遊漁料の発生は無く、したがって僕らも遊漁料を支払う義務は発生しません。
となると、金の事しか考えられない漁協は放流をしません。ですからタナゴをはじめとする素敵な魚たちが多いのです。
えっ?どうして放流をしないとタナゴがいるの?・・・って?
・・・では放流の罪悪をお話ししましょう。
結論から言うと放流は総て自然破壊です。生態系をことごとく破壊しますから。ここまで書けば(釣りをなさる方なら)もうお解りですよね。でも解らない人のために・・・。
例えば内水面の遊漁における放流事業として何といっても最大なものはアユです。どうしてアユがそんなにもてはやされるかというと、アユは美味しいからでも姿が美しいからでも何でもないのです。その理由は漁協が遊漁料の取りっぱぐれが無いからです。アユはほとんどが友釣りで、友釣りの場合はオトリを購入する必要があり、その時に遊漁料を徴収しますので、我々遊漁者から確実にお金を取れるのです。要はアガリが大きいと言う事です。勿論、その川に漁協がアユを放流しているのであればアユ釣りを楽しむ方はその遊漁料を支払う義務が発生します。ですから漁協は鮎を第一優先にして放流しているのです。
ところが、これが困った事なのです。最近言われている遺伝子の地方型なんかまったく考えていませんし(アユにあるのかどうかは知りませんが)、アユなどの魚をを放流する事によって鵜が大量に増えて来ます。当たり前ですよね!鵜に餌をやっているのですから。それも大量に。大量に餌があれば、それを餌にしている生物が増えるのは自然の摂理です。そして、その増えた鵜たちはアユだけではなく他の小魚までを食い荒らします。アユは釣り人にも狙われ、鵜からも狙われてどんどん減って行きますので、餌が少なくなった鵜は周辺地域に移動して行きます。そしてそちらでも小魚を食い荒らします。こうして鵜の被害が各地で起こっています。
次に、アユを放流する事によって川のコケが減ります。アユは稚魚の内は動物食ですが、大きくなると純粋にコケだけを食べています。ですからアユが大量放流された区域ではコケが減ります。そうするとコケを食べている川虫たちが減ってしまいます。川虫が減ればそれを餌にしているヤマメ・アマゴ・イワナをはじめ、ウグイやカジカなどの魚が減ってしまいます。餌が無くなればそれを餌にしている生物が減るのも自然の摂理です。この事は稚魚放流されたアユは最初は動物食ですから、同様に他の魚を減らすことに繋がります。
加えて細かい事を言いますと、アユは運動量の多い魚ですから、沢山の川虫やコケを食べて沢山の糞をします。そして同時に酸素消費量も多いですから水質を悪化させ、水に棲む生物全般に悪影響を及ぼします。
書いていたら枚挙に暇がないのでこの辺にしておきますが、アユだけをとってもこういう事なのです。
ではヤマメ・アマゴ・イワナの放流はどうでしょう?こちらもアユと大した差はありません。鵜は増やすし他の魚の分の川虫(餌)も食べてしまいます。コケを食べないのが唯一違う所です。
それと、もう一つ盛大に放流されている魚・・・ヘラブナです。こちらも純草食系の大人しい魚ですが、時々アカムシで釣れたりもします。放されているのが湖沼ですからあまり影響はないように思えますが、実はこれが大ありです。ヘラブナはゲンゴロウブナの体高の異常に高い突然変異体を育てて品種改良したもの(Wikipediaより)。ゲンゴロウブナは本来は琵琶湖の固有種ですから琵琶湖以外には棲息しません。ところが、このヘラブナという魚も漁協にとっては上がりの良い魚なのです。それは湖沼に釣り座を設けてどっしりと釣り座を構えるので徴収しやすいのです。ではこの大人しい魚の放流がどのような影響をもたらすかというと、草食系の他の魚の餌を減らしてしまう事は上記と同じなのですが、一番良くないのはキンブナの減少に拍車をかけている事です。Wikipediaではキンブナについて『東北地方と関東地方に分布する日本固有亜種。特に関東地方では普通に見られる。ただし、ギンブナ、ゲンゴロウブナに比べれば数が少ない。準絶滅危惧種。』と書かれています。つまり、東北地方や関東地方に棲息しているキンブナと交配してしまって、半べらと言われる特殊なフナだらけになっているのです。ですから、僕が子供の頃どこにでも居たキンブナはほとんど姿を消しております。つまりは準絶滅危惧種になってしまっているのです。ちなみにギンブナは単為生殖(雌が単独で子を作る無性生殖の一形態)ですので交配はないので大丈夫です。こうして昔から何万年も水面下で営み続けられてきたキンブナの生殖が阻害されてその姿を消しつつあるのです。また、ヘラブナ釣りの性格上、どうしても餌を多く使います(バラケとか)。釣具屋さんに行くと練り餌のタナに大きな袋が沢山並んでいるでしょう?あれはだいたい一人が一日で使う量を想定してパックされているのでしょうから相当な量です。それを毎日沢山の人が釣り場に撒くのですから湖沼の浄化能力をはるかに超えてしまうのです。そうするとその練り餌は湖沼の底に溜り、ヘドロへと変わって行くのです。要は水質悪化です。水質が悪い場所で魚が増えるはずはありません。
解りましたでしょうか?こうして本来の自然は漁協によって壊されて行くのです。
こうして壊されて来た自然河川にあのか弱いタナゴが居るはずはありません。先にも書きましたが、人口が多い関東地区でタナゴの在来種が釣れる場所は漁協が管理していない場所がほとんどなのです。このことからも漁協が放流によって川を壊している事は明確です。
このままではどんどん自然が失われていきます。一時も早い漁協の消滅を祈っています。
ただ、ちょっと加えさせて頂くと、漁協に可哀そうな一面もあるようです。上でも少し触れたのですが、内水面では第5種共同漁業権の免許の条件として毎年県の定める増殖量を遂行する義務を負います。これは,内水面は海と違ってその範囲が狭く、すぐに資源が無くなってしまうからです。しかし、これはあくまで「増殖義務」であり放流ではありません。ただ,増殖手法として「種苗放流」「産卵場造成」「堰堤下からのくみ上げ」以外は認められないと水産庁長官が通達を出しているようなのです。そのため、漁協が出来る増殖は=放流となってしまったようです。だとすると、この三つしか対策法を考えられなかった水産庁長官が一人で日本中の自然を破壊している事になります。
・・・オソロシヤ・・・。
もっとも、いずれにしてもこのようなバカげた通達を鵜呑みにしている漁協に問題があるのですから、一時も早い漁協の消滅が少しでも良い河川環境を後世に届ける唯一の方法だと思います。
我々が遊漁料を支払うのは漁業法によるもので、その『漁業権の定義』の中に『第5種共同漁業 内水面(農林水産大臣の指定する湖沼を除く。)』があります。そして、その『農林水産大臣の指定する湖沼』が霞ヶ浦(北浦も含む)と琵琶湖です。要はこの場所では遊漁料を徴収できないのです。ご存じの通り、海釣りでは遊漁券を買う必要がありません。砂浜などでキスを釣っていて金取りのオヤジ(漁協員)が来たりしませんよね。これと同じ事です。
遊漁料の徴収は、ほとんどの内水面(淡水域)でしかも放流をしている事を条件に遊漁料を徴収することが出来るのです(本当は『増殖義務』ですから手段は『放流』じゃなくても良いのですが)。ところが、琵琶湖と霞ヶ浦は内水面ではありますが、あまりにも面積があり過ぎるので海扱いとなっているのです(海区と言います)。よって、たとえ漁協が放流しても遊漁料の発生は無く、したがって僕らも遊漁料を支払う義務は発生しません。
となると、金の事しか考えられない漁協は放流をしません。ですからタナゴをはじめとする素敵な魚たちが多いのです。
えっ?どうして放流をしないとタナゴがいるの?・・・って?
・・・では放流の罪悪をお話ししましょう。
結論から言うと放流は総て自然破壊です。生態系をことごとく破壊しますから。ここまで書けば(釣りをなさる方なら)もうお解りですよね。でも解らない人のために・・・。
例えば内水面の遊漁における放流事業として何といっても最大なものはアユです。どうしてアユがそんなにもてはやされるかというと、アユは美味しいからでも姿が美しいからでも何でもないのです。その理由は漁協が遊漁料の取りっぱぐれが無いからです。アユはほとんどが友釣りで、友釣りの場合はオトリを購入する必要があり、その時に遊漁料を徴収しますので、我々遊漁者から確実にお金を取れるのです。要はアガリが大きいと言う事です。勿論、その川に漁協がアユを放流しているのであればアユ釣りを楽しむ方はその遊漁料を支払う義務が発生します。ですから漁協は鮎を第一優先にして放流しているのです。
ところが、これが困った事なのです。最近言われている遺伝子の地方型なんかまったく考えていませんし(アユにあるのかどうかは知りませんが)、アユなどの魚をを放流する事によって鵜が大量に増えて来ます。当たり前ですよね!鵜に餌をやっているのですから。それも大量に。大量に餌があれば、それを餌にしている生物が増えるのは自然の摂理です。そして、その増えた鵜たちはアユだけではなく他の小魚までを食い荒らします。アユは釣り人にも狙われ、鵜からも狙われてどんどん減って行きますので、餌が少なくなった鵜は周辺地域に移動して行きます。そしてそちらでも小魚を食い荒らします。こうして鵜の被害が各地で起こっています。
次に、アユを放流する事によって川のコケが減ります。アユは稚魚の内は動物食ですが、大きくなると純粋にコケだけを食べています。ですからアユが大量放流された区域ではコケが減ります。そうするとコケを食べている川虫たちが減ってしまいます。川虫が減ればそれを餌にしているヤマメ・アマゴ・イワナをはじめ、ウグイやカジカなどの魚が減ってしまいます。餌が無くなればそれを餌にしている生物が減るのも自然の摂理です。この事は稚魚放流されたアユは最初は動物食ですから、同様に他の魚を減らすことに繋がります。
加えて細かい事を言いますと、アユは運動量の多い魚ですから、沢山の川虫やコケを食べて沢山の糞をします。そして同時に酸素消費量も多いですから水質を悪化させ、水に棲む生物全般に悪影響を及ぼします。
書いていたら枚挙に暇がないのでこの辺にしておきますが、アユだけをとってもこういう事なのです。
ではヤマメ・アマゴ・イワナの放流はどうでしょう?こちらもアユと大した差はありません。鵜は増やすし他の魚の分の川虫(餌)も食べてしまいます。コケを食べないのが唯一違う所です。
それと、もう一つ盛大に放流されている魚・・・ヘラブナです。こちらも純草食系の大人しい魚ですが、時々アカムシで釣れたりもします。放されているのが湖沼ですからあまり影響はないように思えますが、実はこれが大ありです。ヘラブナはゲンゴロウブナの体高の異常に高い突然変異体を育てて品種改良したもの(Wikipediaより)。ゲンゴロウブナは本来は琵琶湖の固有種ですから琵琶湖以外には棲息しません。ところが、このヘラブナという魚も漁協にとっては上がりの良い魚なのです。それは湖沼に釣り座を設けてどっしりと釣り座を構えるので徴収しやすいのです。ではこの大人しい魚の放流がどのような影響をもたらすかというと、草食系の他の魚の餌を減らしてしまう事は上記と同じなのですが、一番良くないのはキンブナの減少に拍車をかけている事です。Wikipediaではキンブナについて『東北地方と関東地方に分布する日本固有亜種。特に関東地方では普通に見られる。ただし、ギンブナ、ゲンゴロウブナに比べれば数が少ない。準絶滅危惧種。』と書かれています。つまり、東北地方や関東地方に棲息しているキンブナと交配してしまって、半べらと言われる特殊なフナだらけになっているのです。ですから、僕が子供の頃どこにでも居たキンブナはほとんど姿を消しております。つまりは準絶滅危惧種になってしまっているのです。ちなみにギンブナは単為生殖(雌が単独で子を作る無性生殖の一形態)ですので交配はないので大丈夫です。こうして昔から何万年も水面下で営み続けられてきたキンブナの生殖が阻害されてその姿を消しつつあるのです。また、ヘラブナ釣りの性格上、どうしても餌を多く使います(バラケとか)。釣具屋さんに行くと練り餌のタナに大きな袋が沢山並んでいるでしょう?あれはだいたい一人が一日で使う量を想定してパックされているのでしょうから相当な量です。それを毎日沢山の人が釣り場に撒くのですから湖沼の浄化能力をはるかに超えてしまうのです。そうするとその練り餌は湖沼の底に溜り、ヘドロへと変わって行くのです。要は水質悪化です。水質が悪い場所で魚が増えるはずはありません。
解りましたでしょうか?こうして本来の自然は漁協によって壊されて行くのです。
こうして壊されて来た自然河川にあのか弱いタナゴが居るはずはありません。先にも書きましたが、人口が多い関東地区でタナゴの在来種が釣れる場所は漁協が管理していない場所がほとんどなのです。このことからも漁協が放流によって川を壊している事は明確です。
このままではどんどん自然が失われていきます。一時も早い漁協の消滅を祈っています。
ただ、ちょっと加えさせて頂くと、漁協に可哀そうな一面もあるようです。上でも少し触れたのですが、内水面では第5種共同漁業権の免許の条件として毎年県の定める増殖量を遂行する義務を負います。これは,内水面は海と違ってその範囲が狭く、すぐに資源が無くなってしまうからです。しかし、これはあくまで「増殖義務」であり放流ではありません。ただ,増殖手法として「種苗放流」「産卵場造成」「堰堤下からのくみ上げ」以外は認められないと水産庁長官が通達を出しているようなのです。そのため、漁協が出来る増殖は=放流となってしまったようです。だとすると、この三つしか対策法を考えられなかった水産庁長官が一人で日本中の自然を破壊している事になります。
・・・オソロシヤ・・・。
もっとも、いずれにしてもこのようなバカげた通達を鵜呑みにしている漁協に問題があるのですから、一時も早い漁協の消滅が少しでも良い河川環境を後世に届ける唯一の方法だと思います。