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岡崎平野を中心とする 植物 と カメラの対話

ヒャクニチソウ - シベの七変化

2020-09-08 18:22:11 | みんなの花図鑑
花期が長いので 「百日草」と呼ばれてますが、一つひとつの花は七変化しています。


まず、全体像。 キク科植物の典型で、周囲の花びらのような小花が 舌状花。中心のつぶつぶが 筒状花(管状花)。それぞれが花です。




中心の筒状花(とうじょうか)たちは 今つぼみの状態です。筒状花の集団は外側から中心に向かって咲いていきます。萼の中から頭が5つに割れたおしべが顔を出しています。
筒状花のほうは 両性花です。おしべとめしべがあります。
周囲の舌状花は 雌花です。シベは めしべ しかありません。舌状花のほうはそのめしべがもう咲いています。




一番最初は こんな状態です。魚でいうと鰓(えら)のようなのが 萼片の役割を果たしています。たくさんの小花をまとめて包んでいるので 「総苞」と呼びます。その中に花があり、筒状の緑の部分が 舌状花のつぼみです。中心のオレンジ色が 筒状花です。




舌状花の各花弁が開こうとしています。舌の付け根部分の雌しべが一部開いています。




Yの字型に開いた黄色いめしべの柱頭は 舌状花のめしべです。中心の筒状花は 一番外側だけが 萼の中から おしべが顔を出しています。おしべは合着して筒になっています(雄しべ筒)。




この花では 外側の舌状花の花弁はまだ開いていませんが、内側の筒状花の一番外は 赤い萼の中から 雄しべ筒が伸長して 頭を割って花開いています。




雄しべ筒は内側に毛が生えていて筒の内側に花粉が付いています。黒い棒状の部分はめしべ(めしべのこん棒)で、これが上に伸びていくときに花粉を上に引きずり上げます(めしべといっても柱頭はまだ未成熟です)。




星形に開いた雄しべ筒の中心に花粉がありますが、これは めしべのこん棒が押し上げたものです。




周囲のオレンジ色が 舌状花の花弁、その根元の黄色いY字型をした器官が 舌状花たちの めしべ。中心の背の高いのが 筒状花の雄しべ筒(頭部が5つに裂けて開いています)。




筒状花の雄しべ筒(頭部が5つに裂けて開いています)の中に めしべのこん棒が押し上げた花粉が見えます。花粉の直下の黒い器官がめしべのこん棒。




筒状花の内側の小花は めしべのこん棒が 花粉を押し上げた状態ですが、外側の小花は おしべが崩れ落ちて めしべの柱頭が開いています。




暗褐色の部分が 筒状花の雄しべ筒が崩れ落ちた残骸。




筒状花の めしべの柱頭、拡大。




舌状花の めしべの柱頭、拡大。




全体図。




セセリチョウがいっぱい来ています。



2 コメント

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ヒャクニチソウ (さざんか)
2020-09-08 20:34:15
アブリルさん、こんばんは。
昔からあるヒャクニチソウ、舌状花と筒状花の蕊の仕組みが、こんなに複雑になっているなんて知りませんでした。
もう一度よく読み返してみます。
とても勉強になりました。
有り難うございます。
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Re: さざんかさん^^ (アブリル)
2020-09-08 21:15:46
さざんかさん、こんばんは~~
雄しべ筒のなかを雌しべ棒が花粉を乗せて上がってくる・・・
そう、キキョウと同じことを キク科では沢山の筒状花がやってるんですね (^^♪
今は、どこを散歩していても咲いている百日草、草丈もある程度あって 屈まなくても写真撮れるし・・・
一番観察しやすい花です(^_-)-☆
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