紙魚子の小部屋 パート1

節操のない読書、テレビやラジオの感想、お買い物のあれこれ、家族漫才を、ほぼ毎日書いています。

奈良での災厄

2006-10-13 23:21:04 | ファミリー
 Kちゃんが、学校の見学旅行で奈良へ行って来た。東大寺、二月堂、三月堂、奈良公園、若草山、法隆寺が行程だ。

 奈良、ええな~、お母さんも行きたい! あの、のんびりした空気がなんともいえへん。と、さんざん羨ましがる。

 ちなみに私は小学校の旅行では、4年に京都(清水寺など。日帰り)、5年に奈良(東大寺、若草山、二月堂、三月堂、奈良公園。日帰り)、6年には三重県伊勢志摩(鳥羽水族館、二見浦、伊勢神宮、賢島→真珠の生産加工など。1泊2日)だった。

 まだ独身で若かった頃、奈良の国立博物館へ仏教美術を年に2度ほど見に行くのが常だった。世間はバブルに浮かれて海外旅行にいそしむ人々や、デザイナーズブランドに夢中な人々で溢れていたが、私に関しては、最もビンボーだった時代だった。電車代とチケットは仕方ないとして、お昼は奈良公園でお弁当や! と節約生活に励んでいた。

 ところが奈良公園には鹿がいる。ベンチでおにぎりをかじっていたら、最初メスの鹿がどんどん集まって来た。しっしっ! と手で追っていたが、そのうち立派なツノをはやしたオスの鹿までが、とっとっと小走りに集まって来るではないか! 身に迫る危機!! 少なくともおにぎり1個はあきらめるしかなかった。ベンチに一つ残し鹿がそれに気をとられている間、逃げるようにその場を立ち去った。
 あわれベンチのおにぎりは、ホラー映画の犠牲者のように、よってたかって鹿たちの餌食に・・・。

 というつらい思い出が奈良にはあるんや、とKちゃんに教え、くれぐれも鹿には注意するよう言い聞かせた。だから彼女は他の女の子達のように「鹿、かわいい~♪」とは思っていない。おかげで彼女に鹿の被害はなかったようだ。

 が、彼女が東大寺でおみくじを引いたらなんと「凶」がでた! レアや~! とクラスメイトで同じく凶を引いた男の子とはしゃいでいたらしい。

 どういういきさつかわからないが、そのときいきなり50ばかりのオッサンに凄まれたそうである。「ボウズ! 足踏んどるやないけ~! なめとんのちゃうか~!?」
即「すいません」とあやまったそうだが、本人によると靴は多少ぶつかったかもしれないが、足を踏んではいなかったらしい。オッサンは「けっ!!」と言い捨てすぐ去っていったようだ。

 この「ボウズ!」はKちゃんのことである。10人のうち9人は男の子と間違える。
「私、いままで、ボクとかボンとかBOYとかHEとか言われたけど、いちばんひどい言い方された~!」とゲラゲラな本人だった。旅行中、何人の友達にこの話をしたのだろうか、というこなれた話し方だった。

 浮「人やったの?と心配したら、そうでもないと思う、とのこと。その瞬間は驚いたろうが、しっかりお笑い撃ノ消化するとは、恐るべき小学校6年生。

 それにしても「凶」の後、即「災厄」にみまわれるなんて、当たり過ぎちゃうのん?と言いたい気がする。ま、それで災厄が消化されたんなら、とりあえずいいか。

 本人はすっかりハイテンションやし。
「ある意味、ものすご、思い出多い旅行になったわ!」とうきうきだったもんな。

 Kちゃんの奈良の感想。
「地味すぎて、私には合わへんかった」
あ、日光/月光菩薩はみた?
「それらしいのはあったみたいやけど、走り抜けてしもたし、わからんかった」
「玉虫の厨子」、どやった? 
「なんか黒ずんでてぼろぼろで判らんかった」
その後、彼女はそれのことを本気で間違えて「カメムシの厨子」と言ってしまい、我が家で思いっきり笑いをとってしまった。

そうそう、大仏殿の柱の穴くぐりはした?
「それはした。頭がよくなるんやて。大仏様の鼻の穴と同じ大きさの穴やから、くぐると《目から鼻に抜ける》ねんて」奈良での収穫がやっと一つみつかった。

それからお兄ちゃんの受験用のお守りも買って来てくれた。なんのかんのいって、相変わらずやさしいKちゃんである。