やっと見に行けた念願の映画『太陽』。前もって情報や内容を見たり読んだりしていたので、自分なりに「こういう感じ?」と予想や期待をしていったんだけど、あれ? 違う?という感じだったのが意外だった。
いや、見たり聞いたりしたことが違っていたんではなくて、それはまさにその通りではあったんだけれど、私に引っかかって来る所が、自分であらかじめ予想していたのとは違っていたようなのだ。
まず、なんでこの映画が「日本で上映を危ぶまれた」のかが、実はわからない。私が無知なだけかもしれない。大正13年に戦争が起こる原因となった事件がアメリカであったと、この映画では侍従長=佐野史郎、昭和天皇=イッセー尾形が口にしているけれど、それすら知らなかったもんな。きっと日本の近・現代史に造詣が深い方々が見れば、より楽しめるのかもしれない。
それからこれも知識不足なので、想像でしかいえないのだけれど、絶対、隠喩や暗喩がちりばめられた作品なんだろうな、と思う。
なぜ昭和天皇が賞賛する生物が「平家蟹」なのか、なぜ夢の中の東京大空襲のときに「巨大な魚」が爆撃するのか、なぜ「チャーリー・チャップリン」が想起されるのか、机の上の人物像など、疑問は果てしなく続く。それについて消化不良のまま、あれこれ思いを巡らすのは、実は楽しい。
以前、萩尾望都のマンガ『残酷な神が支配する』を読んで、これと同様の消化不良を起こした事がある。気になってしょうがなかったところ、ネットで彼女のファンが「ああかな、こうかな」と論を立てているサイトを偶然見つけて「おおお~」と感嘆した事があった。例えば「卵」はイースターを連想させ、死と再生のシンボルである、とか。マンガの裏表紙の写真にも、深い意味が隠されているとか、たしか4人の才女達が素晴らしく面白い解説を語ってくれていた。やっぱりいろんなこと知ってると、読みが違うわ~、と感心するやら、羨ましいやら。
それにしても、海洋生物が大好きで、紳士的で、何か国語もマスターされ、賢明な鋭いことをおっしゃる昭和天皇が、反面とても無邪気に振る舞うのが微笑ましい。
自然科学系の博士?がよばれたときも、「あなたのお友達もここに」と、机上のダーウィン像をぽんぽんとたたかれたりとか。よばれた博士も「おおダーウィン!・・・」とうれしそうに目を細めて微笑むのが、マニアックな研究者らしくていい。
そういえば彼は昭和天皇に対して、他の人達より「おそれおおくも」といったかしこまった様子が見受けられなかった。
「人間宣言」をすれば、自分は「現人神」から解放されるのだ、と信じていたのに、玉音放送の録音技師が自害してしまう。
「子どもですら天皇陛下は現人神ということを知っている」戦中の状況は、すぐさま日本人の意識やからだの中で変わることはないのだろう。ラジオによって「言葉」は届いても、その意味がきっちりと国民の中に入って行くのか、という不安。昭和天皇の孤独と絶望を慰めるのは、やはり家族だけだったのだろうか?
それにしても不思議な映画だった。静かで寡黙なひとびと。説明のされない画面。色の少ない映像処理。退屈になりそうなのに、逆にぜんぜん気が抜けない。
それと美的感覚みたいなのが、いかにもロシアっぽくて面白かったなあ。バラのなかで昭和天皇の写真を撮ってみたり(その庭には、なぜか鶴が一羽放し飼いにされていた)。マッカーサーと昭和天皇の会食するレストラン??の趣味とかも、なんだかロシアのひとって、こういうのがゴージャスで上品だと思っているのかと先入観と偏見でみてしまった。いけないよなー、先入観とか偏見、って思いつつも。
ところで昭和天皇の机の上にあったのは、ダーウィン像と途中引き出しにしまいこまれたナャ激Iン像と、あとひとつは誰だったのだろう? あー気になる!
いや、見たり聞いたりしたことが違っていたんではなくて、それはまさにその通りではあったんだけれど、私に引っかかって来る所が、自分であらかじめ予想していたのとは違っていたようなのだ。
まず、なんでこの映画が「日本で上映を危ぶまれた」のかが、実はわからない。私が無知なだけかもしれない。大正13年に戦争が起こる原因となった事件がアメリカであったと、この映画では侍従長=佐野史郎、昭和天皇=イッセー尾形が口にしているけれど、それすら知らなかったもんな。きっと日本の近・現代史に造詣が深い方々が見れば、より楽しめるのかもしれない。
それからこれも知識不足なので、想像でしかいえないのだけれど、絶対、隠喩や暗喩がちりばめられた作品なんだろうな、と思う。
なぜ昭和天皇が賞賛する生物が「平家蟹」なのか、なぜ夢の中の東京大空襲のときに「巨大な魚」が爆撃するのか、なぜ「チャーリー・チャップリン」が想起されるのか、机の上の人物像など、疑問は果てしなく続く。それについて消化不良のまま、あれこれ思いを巡らすのは、実は楽しい。
以前、萩尾望都のマンガ『残酷な神が支配する』を読んで、これと同様の消化不良を起こした事がある。気になってしょうがなかったところ、ネットで彼女のファンが「ああかな、こうかな」と論を立てているサイトを偶然見つけて「おおお~」と感嘆した事があった。例えば「卵」はイースターを連想させ、死と再生のシンボルである、とか。マンガの裏表紙の写真にも、深い意味が隠されているとか、たしか4人の才女達が素晴らしく面白い解説を語ってくれていた。やっぱりいろんなこと知ってると、読みが違うわ~、と感心するやら、羨ましいやら。
それにしても、海洋生物が大好きで、紳士的で、何か国語もマスターされ、賢明な鋭いことをおっしゃる昭和天皇が、反面とても無邪気に振る舞うのが微笑ましい。
自然科学系の博士?がよばれたときも、「あなたのお友達もここに」と、机上のダーウィン像をぽんぽんとたたかれたりとか。よばれた博士も「おおダーウィン!・・・」とうれしそうに目を細めて微笑むのが、マニアックな研究者らしくていい。
そういえば彼は昭和天皇に対して、他の人達より「おそれおおくも」といったかしこまった様子が見受けられなかった。
「人間宣言」をすれば、自分は「現人神」から解放されるのだ、と信じていたのに、玉音放送の録音技師が自害してしまう。
「子どもですら天皇陛下は現人神ということを知っている」戦中の状況は、すぐさま日本人の意識やからだの中で変わることはないのだろう。ラジオによって「言葉」は届いても、その意味がきっちりと国民の中に入って行くのか、という不安。昭和天皇の孤独と絶望を慰めるのは、やはり家族だけだったのだろうか?
それにしても不思議な映画だった。静かで寡黙なひとびと。説明のされない画面。色の少ない映像処理。退屈になりそうなのに、逆にぜんぜん気が抜けない。
それと美的感覚みたいなのが、いかにもロシアっぽくて面白かったなあ。バラのなかで昭和天皇の写真を撮ってみたり(その庭には、なぜか鶴が一羽放し飼いにされていた)。マッカーサーと昭和天皇の会食するレストラン??の趣味とかも、なんだかロシアのひとって、こういうのがゴージャスで上品だと思っているのかと先入観と偏見でみてしまった。いけないよなー、先入観とか偏見、って思いつつも。
ところで昭和天皇の机の上にあったのは、ダーウィン像と途中引き出しにしまいこまれたナャ激Iン像と、あとひとつは誰だったのだろう? あー気になる!