紙魚子の小部屋 パート1

節操のない読書、テレビやラジオの感想、お買い物のあれこれ、家族漫才を、ほぼ毎日書いています。

老人力話in町家

2006-10-29 23:40:00 | アート
 昨日の話である。

 最近話題の町家のギャラリー、ボーダレス・アートギャラリーNO-MAの秋の企画展「快走老人力 ー老ヒテ マスマス 過激ニナル」の最終イベント、第3回目トークイベントがあった。

 前回2回目のトークイベント、都築響一さんの「珍日本紳士録~わが道をばく進するアウトサイダーおじいちゃん」も、とても行きたかったが、どうにも行ける状況ではなかったので、涙をのんで断念した。

 昨日もどうしても仕事に入らざるを得なかったので、おとといの夜に寂しく「行きたかったなー、行きたかったなー」とひどく残念がっていた。あまり残念がっているので、夫H氏が「代わりにいってこようか?」と申し出てくれた。
 実のところ、その言葉が出るのを今か今かと待ちながら、残念がっていたのだよ、明智くん! 確信犯な怪人二十面相なのである。

 3回目のトークイベントは美術史研究家であり、信楽のMIHOミュージアム館長の辻惟雄氏なのだ。ほんの20年前にはかなりマイナーだった江戸時代の画家、伊藤若冲ら「奇想の画家たち」の再評価の火付け役となった『奇想の系譜』『奇想の図譜』などの著者である。
 NHK教育テレビで10~11月の月曜、夜10:25~10:50に放映されている『知るを楽しむ この人この世界』にも「ギョッとする江戸の絵画」というテーマで講師をつとめていらっしゃる。

 NO-MAでのトークのテーマも、もちろん主に江戸美術だ。「江戸は老人力~若冲、北斎、鉄斎を語る~」というのがタイトルになっている。場所はNO-MAの向かい側、野間清六邸。

 その日の晩ご飯が済み、興味津々で「(トークイベント)どやった、どやった?」とH氏に聞くと、開口一番「すごい町家やったで。庭なんか寺院の庭園みたいに広かったし。町家って、ええもんやなあ~」 ああ、そりゃいいでしょう。町家はくつろげるし、ほっとする場所やん。わかるわかる。

 「あんたの好きな若冲とか、じいさんになってから、ますますパワフルになった北斎とかの話でなあ」うんうん!
 「若冲は京都の人で、オタクとかマニアやったんやな。タイルみたいな絵とか、点描のとか、すごいマニアックな絵を描いてはったんやて。青物問屋の若旦那やったんやけど、絵に専念するために家督を弟に譲って」 そうそう。若旦那やったから絵の具もええの使てはったんやて。年取ってからは禅寺のお坊さんと仲良くて、石で五百羅漢とかも作ってはったみたいよ。京都伏見の近くの深草あたりにあるらしい。
 「ああ、それ言うてはった。変な猿石みたいなやつやろ。スライドでみせてくれはったわ」

 ちなみに夫のお気に入りの、明治から昭和後期まで生きた画家、熊谷守一氏の話やスライドもあったそう。「この人の絵、MIHOミュージアムにあったやろ、こないだの青山二郎の展覧会のとき」 ええっ?! そうだっけ? 見事に覚えていない私。
 ばっちり興味と好みがすれ違う(笑) 

 私の身代わりで出かけたとはいえ、なかなか楽しんで来てくれたようで、うれしい。

「ところで、町家って、ほんまにええなあ」と話が頭に戻る夫H氏。突如、いや~な予感が走る。もしかしたら・・・。「どっかで、いらん町家あったら、欲しいなー。あんたもなんか情報みといてや~。解体して運んで、組み立てて」おいおいおい!
「これで仕事に張り合いできるわー♪ やっぱり目標なかったら、仕事しよ~って気にならへんもんなー」おいおいおい!

 とんだプレ老人力をつけて帰宅したH氏なのであった。