紙魚子の小部屋 パート1

節操のない読書、テレビやラジオの感想、お買い物のあれこれ、家族漫才を、ほぼ毎日書いています。

お世継ぎはどうする?

2006-10-24 23:36:23 | 読書
 お昼休みに『広告批評』06年10月号を読んでみた。トップにある橋本治さんの「ああでもなくこうでもなく」がいちはやく読みたいばっかりに、定期購読している。

 それ以外にもときどき素晴らしい特集とかもあるし、装丁のデザインも毎回特集に沿ったクリーンヒットなのだ。なんといっても思いっきり好きなようにやってます!みたいな雑誌なので、手にしているとしごく気分がいい。読むだけなら地元の図書館にもあるので、月遅れで借りればそれで済むのだけれど、やはり応援するからには定期購読かな。

 今回の「ああでもなくこうでもなく」では、「皇位継承者は男系男子に限る」なんて敷居の高いことを言っていたら結婚相手を登場させにくくする危険(天皇制存続の危機)がありますよ、という話だった。なるほどね、そういえば話を簡単にすればそういうことになるよね。

 そのしばらく後、日曜の新聞書評欄を見渡してみる。10月22日の書評欄は、なかなかに充実していた。その中で「そ、そうだったの?」というトリビアルな本が紹介されていた。『お世継ぎのつくりかた』(鈴木理生/筑摩書房)である。

 現在では「男子による継承」という意識がありがちだが、江戸時代には武士を除く「農工商」は女系主導でお世継ぎを決めていた。特に豪商などでは息子に継がすと資産を食いつぶすという経験則から、優秀な婿を選抜して迎えたそうである。「娘から娘へ」の婿養子制度は、なんと戦前の昭和までの商家に継承されていたらしい。

 ・・・そういえばバングラデシュのグラミン銀行では、女性にだけ融資していたのじゃなかったっけ。女性は無駄遣いせず、一発当てようという山っけもなく、自分のためでなく子どものための借金なので、手堅く返済してくれ無担保でも信頼できると、グラミン銀行を立ち上げたユヌスさんがおっしゃっていた。女性グループ3名単位での融資なので、女性同士の友情のあつさも功を奏しているらしい。

 一方、悲壮感が漂うのが武士である。子どもは資源。最低3人の男の子が必要とされていたが、昔のことゆえ死亡率も高い。家の存続と発展のため、房事過多による衰弱死も恐れず身を削るのが武士の道だった。って・・・もしもし、悲壮を通り越してませんか?と加藤清正さんに言ってあげたかった。

 今じゃどちらかといえば女性が悩む「お世継ぎ問題」だけど、昔は武士も命懸けだったんだなあ。「男系相続」ってある意味、交尾が終わったらメスに食われちゃうカマキリみたいだなあ、どちらにしても男の人にとってあんまりな制度かもって、ちょっと思った。昔の話だけどね、だぶん。