紙魚子の小部屋 パート1

節操のない読書、テレビやラジオの感想、お買い物のあれこれ、家族漫才を、ほぼ毎日書いています。

ぎんぎんぼう万歳

2008-03-04 23:49:43 | たべもの
 婚家は金沢出身者なので、たとえば滋賀県の特産品、鮒寿司や赤コンニャクなどは口にしない。婚家では、御法度の禁制品!?なのである。

 私はコンニャクは赤いもの、という意識で育ったので、初めてスーパーで「普通の」コンニャクを見た時には、「なんて不気味な!」と思ったものだ。ごく小さなスーパーが自転車で行ける場所に出来たのは、小学生の高学年あたりだったから、10歳以上だった。

 これはほとんど一つ目の国に来た、二つ目の人間が見せ物にされるようなものである。常識は自分の住む世界の中の多数決で決まるのだ。住む世界が狭いと、局所的なものでさえ、絶対的な常識となるのだ。

 先日スーパーの魚売り場で「ぎんぎんぼう」がパック詰めにされているのを発見した。めったに出回らないレアものである。しかも激安。300円~400円くらいで7匹ほど入っていた。

 金沢では「ぎんぎんぼう」と呼ばれ、福井では「げんげ」と言われ、一般には「水魚」という深海魚だそうだ。我家では、これをぶつ切りにして、お吸い物にする。深海魚だけにジュンサイのようなぬるぬるした膜で覆われている。しかも、哀愁ただよう眼差しなのだ。ぱっちり見開いた魚の瞳から、「なんでワタシがこんな目に・・・」という薄幸さと静謐な悲しみのワケを問いかけている。

 なぜ君が「こんな目にあうのか」、お答えしよう。残念ながら、君がウマいからである。いいダシが採れるからである。許せ、悲しい目をした深海魚よ!

いい写真ではないが、「ぎんぎんぼう」のアウトラインはわかるかと。目が白いのはフラッシュのせいで、つぶらに黒い瞳でした。