花のたより☆山のふみ~青森県立名久井農業高等学校~

農業と環境の研究グループ「チームフローラフォトニクス」と弟分である「ハンターズ」の取組みを紹介します!

農高半端ない

2020年12月29日 | 学校
先日行われた校内プロジェクト発表の賞状伝達。
毎回、農業クラブがユニークな副賞をくださるので人気です。
伝達が始まる前、ステージ脇にその副賞を見つけました。
いつもクリスマス直前に行うので、今年も定番の
ノンアルコールシャンパンはちゃんと準備されています。
しかし見たこともない大きな箱が見えます。なんでしょう?
授与が終わって大きな箱を抱えている女子に尋ねるとなんとインスタントラーメン。
何名のチームかわかりませんが、30袋もあるそうなので、
きっと今年は年越し蕎麦ならぬ年越しラーメンを楽しむかもしれません。
さて今も昔も農業教育の柱といえばプロジェクト学習。
課題解決学習とも呼ばれる研究活動です。
近年「探究」という考え方が注目され新指導要領に盛り込まれましたが
農業高校ではとうの昔に導入済み。今やお家芸です。
研究成果などを競う全国大会は今年で71回目。半端ない歴史をもっています。
この71回でピンときた人がいると思います。そうです紅白歌合戦と同じなのです。
第1回大会の出場は藤山一郎氏など大御所。美空ひばりさんでも第5回に初出場。
いかに昔から農業高校が、この研究活動を学習の柱に置いているかがよくわかります。
また農業高校では、この学習をスムーズに行うためのシステムもできています。
まずスタートは、1年生が農業学習入門といえる科目で農業の基礎的な知識技術と
研究活動のノウハウを先生主導で指導。師匠を真似て覚えるスタイルです。
本格的に開始するのは学校によって違いますが、名農では2年生から。
2〜3年生で学ぶ課題研究で各自、興味のあるテーマに取り組みます。
このように農業高校生は3年間研究活動に親しむ仕組みができているのです。
環境班が先日のSDGsアワードで評価されたのは、
手薄な1年生に本格的な研究と発表の場をボランティアで長年提供していること。
ちょっと早めの課題研究体験サービスが認められたのです。
いずれにせよ、すべて農業高校の文化。私たちが胸を張れるところです。
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リンゴ王国

2020年12月29日 | 
今、青森県の店頭にはたくさんのリンゴが販売されています。
もちろん主流は「ふじ」ですが、それ以外の品種もいっぱい。
聞いたこともない品種もたくさんありチャレンジしたくなります。
産地ならではの贅沢です。このリンゴは「青林」(せいりん)。
生産量が少ない幻の品種といわれるらしく、初めて食べました。
それがまた甘くて美味しい。王林のようなシナノゴールドのような
風味もあります。しかし調べてみるとレッドゴールドの自然交配種。
何の品種と交配されたのかはわかりませんが、自然が作り出した名品です。
でも誕生地は岩手県。青森に似た名前なので勘違いしてしまいそうです。
さて青林は青っぽいリンゴですが、写真の果実は赤と緑の境がはっきりしています。
これはどうしてでしょう。もちろん赤いのは太陽をいっぱい受け
アントシアニンが合成されたところ。青や黄色の品種でも少し赤くなります。
では緑の部分はなんでしょう。よくみるとこの緑の形、葉っぱに見えませんか。
そうです。果実の上に葉があったため光が当たらず、そこだけ緑のままになったのです。
一般に万遍に光を当ててきれいに着色するよう
収穫が近づくと果実周辺の葉を摘んでしまいます。
ふじの場合、このような手間をかけた無袋栽培したものを「サンふじ」といいます。
しかし光合成をする葉を摘んでしまったら美味しくなくなるとか
労力削減との理由から、この青林のように葉をそのまま残す栽培法もあります。
これを「葉取らずリンゴ」といいます。
美味しいのですが、このように着色が悪いのが欠点です。
何十年も前ですが、生徒と東京でリンゴのアンケートをとったことがあります。
美味しい「葉取らずリンゴ」のPRのためでしたが、都民の回答にみんなびっくり。
かえってきた答えはリンゴは赤じゃなきゃだめ。味よりも見た目で決めます。
ほとんどこの回答でした。美味しいのに葉取らずリンゴが普及しないのは
リンゴに対するこんな根強いイメージがあるからのようです。
でも光を当てるための葉摘み作業は、本当に手間のかかるもの。
高齢化の進む農村。生産者も消費者も一斉に意識改革できないものでしょうか。
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