花のたより☆山のふみ~青森県立名久井農業高等学校~

農業と環境の研究グループ「チームフローラフォトニクス」と弟分である「ハンターズ」の取組みを紹介します!

お陰様

2021年05月29日 | 研究
たくさんの研究を同時並行で進めているトレジャーハンターズ。
結成時、園芸科学科の草花班に所属していましたが、現在は環境システム科の環境研究班。
名前も研究内容も変化しました。しかし農業高校の研究班であることには変わりません。
そのため現在行なっている研究の半分は植物を用いたものです。
さて彼が取り組んでいるのは薬草の水耕栽培。
メインはミスト(細霧)を用いた薬草の栽培法の確立ですが
比較のためにいろいろなタイプの水耕栽培装置を用いています。
先日、すべての準備ができ栽培がとうとう開始されました。
この日は植え付けて1週間後。心配した装置は正常に作動中。
植物も区によって違いますが、まずまずの状態です。
そこで先日、最初の生育調査が行われました。
調査するのは約25株。それを一人で黙々と行っています。
彼の興味を引いたのは葉緑素計。葉の色を数値化するものです。
購入すると結構高価な機器ですが、なんとこれはいただき物。
実は2009年、初代TEAM FLORA PHOTONICSが結成され
当時珍しいLEDを活用した栽培研究に着手した頃、似たような仲間がいました。
それが生物生産科の野菜班。以前から総合的防除研究に取り組んでいましたが、
突然誕生したFLORAが光研究に着手したことから、彼らも助成金を頂きながら
新たに緑色光を照射して病害を抑えるという研究も始めたのです。
同好会のようなFLORAに比べると、野菜班は広大な圃場も予算もある大組織。
高価な機器をたくさん持っていました。葉緑素計もそのひとつでした。
ともに愛媛大学の見学をしたり、年数回は生徒を連れて学会に参加していましたが
10年ぐらい前に担当の先生が異動され、研究も幕を閉じました。
店じまいする際、先生から機材を受け継いだのがFLORA。
そのお陰で今はフローラハンターズが利用しているというわけです。
機会があったらそんな昔話でも聞かせたいものです。
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育成選手

2021年05月29日 | 研究
TEAM FLORA PHOTONICSは結成翌年、
研究活動を体験したい1年生を募集し、研究のノウハウや
外部で発表する醍醐味を経験してもらう研究生制度を立ち上げました。
応募してくる1年生である通称ジュニアは、毎年平均して4〜6名。
みんな部活動をしながら研究活動に取り組み、先輩フローラとともに
県外の学会に参加しては楽しんだものです。研究って面白い。
1年生の時にこんな経験したためか大学に進学した人もかなりいます。
幼い時から芸術やスポーツに触れさせるのと同じで
短い高校生活。研究もなるべく早く経験させることが重要なようです。
そんな高校生が高校生を育てるフローラのユニークな企画は高く評価され、
外部の大きな教育賞を何度か受賞しています。
世界グランプリや準グランプリが注目される環境班ですが、彼らはみんなJr.出身。
フローラの育成選手だったのです。自分たち以外の研究の面倒を見るのは大変ですが
未来を考え、苦労を後輩たちに投資したフローラの先見の名には感謝するばかりです。
さて2021年の研究生、通称Jr.は全部で2人。
園芸科学科が募集停止になってしまったこともあり
1学年は生物生産科と環境システム科の2クラスだけ。
生徒の絶対数が減ってきたのが減少の大きな理由だと思われます。
しかしJr.はいつだって少数精鋭。やる気満々な勇者が今年も集まりました。
現在、1名を環境班が、もう1名を農業クラブが担当して指導しています。
先日、環境班にきている1年生が研究用のレタスを小型水耕装置に植え付けました。
予定ではコマツナも植える予定。環境システム科に所属しているので
学科のメイン学習である水耕栽培を用いた研究に挑戦してもらっています。
ホウレンソウも播種しましたが、気温が高くなってきたこともあり
思うようにいきません。こちらは秋にスタートさせたいと考えています。
今年もJr.の頑張りに期待したいと思います。
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答えは自分の中にある

2021年05月29日 | 学校
名久井農業高校には農業経営シミュレーションという学校設定科目があります。
これは生徒たちに1年間畑を貸し、実際に作物の生産販売を体験させることで
農業経営の仕組みはもちろん、課題を乗り越える醍醐味を肌で感じてもらおうと
お隣の三本木農業高校で生まれた全国でも例のないユニークな科目です。
従来の科目と大きく違う点は先生の指導法。一般に授業は先生が主導する
ティーチングが主流ですが、この科目の主役はあくまで生徒たち。
いつ何を栽培してどのように販売するか、さらに今日の授業では
何をするかなど決定権はすべて生徒たちに渡しました。
先生はいつもの癖で、ついつい口を出したくなりますがここはじっと我慢。
コーチングに徹底します。「求める答えは自分の中にある」とはコーチングの名言。
先生は生徒の考えをよく聞いて、アドバイスするだけ。
彼らの意思を引き出し、成功できるようサポートに徹します。
そのためには授業以外での準備がさまざま必要で慣れるまでは大変でしたが、
教え込む今までの授業とは違う生徒たちの生き生きした姿を楽しんだものです。
しかし彼らは彼らで自由と引き換えに大きな責任を感じていたようですが・・・。
これはそんな農業経営シミュレーションで作った漬物に貼り付けるラベル。
三農の生徒たちの依頼で作ったものです。生徒が作る模擬農業法人は毎年4社。
10月にコンテストを兼ねた各社の漬物や野菜の即売イベントが開催されました。
名付けて「四社大祭」。八戸市の夏祭り「三社大祭」にひっかけたネーミングです。
このイベントを通して、彼らは同じ野菜でも加工すると高値で取引できること、
そのためにはネーミングや生産履歴などの工夫が重要なことを学んでいました。
最期の授業で「一番辛かったけれど、一番やりがいのある授業だった」という
感想をよくいただきます。これは指導者にとって最大の褒め言葉でした。
またユニークなのは毎年、授業の改善点を話してもらうこと。
実際に体験したプレーヤーの意見を常に取り入れ、毎年ルールを見直したものです。
先生と生徒が一緒になって作った科目「農業経営シミュレーション」は
20年経った今も名農や三農で生徒たちを育てています。
なお長い歴史のある八戸市の三社大祭の方は
今年もコロナで山車の運行中止が決定しました。残念です。
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水槽に藻類発生

2021年05月28日 | 研究
水が1リットルしか入らない小さな小さな水槽です。
しかしガラス製のメーカー品で、ずっしり重く見栄えもなかなかです。
本来は熱帯魚のベタを飼育するためのものですが
昨年、トレジャーハンターズは作った100種類もの三和土をこの水槽に浸しては
耐久性を何度も調査していました。つまりこの水槽がなければ
彼らの世界グランプリはなかったといっても過言ではありません。
3代目環境班のフローラハンターズの1名も先輩の研究を応用した三和土研究に着手。
そのためせっかく先輩が卒業する際にしまった小型水槽を
また引っ張り出したというわけです。
ずらりと戸棚に並べて調査していますが、
先日戸棚の上に大きなダンボールがあることに気がつきました。
もしかしてと思って確認してみると、中には小型水槽が15個ぐらい入っています。
すっかり忘れていました。
それにしても先輩は、すいぶんたくさん購入したものです。
ちょっとした探し物ならほとんど手に入る環境班の宝の倉庫。
ドラえもんのポケットのようで、文字どおり重宝しています。
さて見てもらいたいのは水槽の中の水。
藻類が発生し、水が緑に着色してきました。
観賞魚を飼育している人だったら誰でも経験する現象です。
窓辺に1ヶ月も放置したフローラハンターズのだらしなさが原因でしょうか。
先輩に見つかったら叱られそうですが、これには理由があります。
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環境システム科のコア

2021年05月28日 | 研究
こちらもフローラハンターズが窓辺に1ヶ月も放置した水槽。
しかし不思議なことに藻類の発生はなく、きれいな透明です。
実は2つの水槽はある男子メンバーの実験。
想定した通り、藻類の発生を今のところ完全に防いでいます。
さて環境システム科のメインの学習は水耕栽培。
そのため専用の水耕温室はもちろん、普通の農業高校にはない
水耕関連の実験装置などがいろいろ導入されています。
とはいっても水耕栽培は比較的最近の技術。
したがって農業の先生方といえども経験者は多くありません。
そのため環境システム科が新設されてからは毎年順番で
環境システム科の先生方は千葉大学で開催される研修会に参加してきました。
また隣町にある植物工場の方を講師に招いて生徒に植物工場のノウハウを
説明してもらったり、実際に見学に行くなど生徒も積極的に学びました。
その甲斐あって新しい技術を身につけた先生方は、課題研究はもちろん
小中学校などに小型装置を貸し出し、生徒とともに出前授業を展開。
この取り組みには県知事も高く評価され、少子化のため閉科している中
水耕栽培を学ぶ新学科を作って大成功だったと喜んでくださいました。
しかし先生方には異動がつきもの。せっかく研修された先生方も
気がつくとほとんど名農を去りました。水耕栽培は環境システム科のコア。
またみんなで研修に行く必要があるようです。
フローラハンターズの彼が取り組んでいるのは
そんな水耕栽培での藻類発生を抑制できる技術開発。期待しています。
なお本日予定されていた名農生が地域で花植えをする農クの活動である
地区分会活動は、コロナ感染を防ぐため中止となりました。
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