若者サポートステーションで、「リレー小説」ワークを担当した。
文字を読めない、または 文字が書けない
といった学習障害を持つ人の参加の有無を、当日も確認できないままだったけど
Mさんと二人だから、何とかなるだろうと心配しないことにした。
ねらいは、他者理解と 相手の気持ちをくむこと。
はじめに小説家という職業があって
私たちを癒したり、勇気付けたり、愉しませたり、感動させることができると紹介した。
6月末で募集締め切りになったけど、毎年坊ちゃん文学賞に4月から応募できること
県内には、ノーベル文学賞作家がいらっしゃること。
今日は、小説家の卵になって取り組んでほしいと告げた。
起承転結の例として蜘蛛の糸の話をした。
起: ある男が、地獄で苦しんでいた
自分は悪党だが、良いこともしたから、助けてくれ。
承: それを聞いたお釈迦様が、蜘蛛の糸を天国から垂らした
転: 喜んで蜘蛛の糸をつたって天国へ登る男、
下をみると たくさんの悪党も、登ってくるではないか。
やめろ!糸がきれるじゃないか、これは俺だけの糸だ!
結: その怒鳴り声とともに、ぷつんと糸はきれた
一つの物語を、4人に分担してもらった。4人は円陣を組んで座った。
まず、起を書く。
書き出しは、「平成25年、私 麦子(麦男) 18歳」。
場所は、砂漠にいても、アメリカの大学にいても、南の島にいてもOKだ。
登場人物や出来事も自由でいい。
でも、主人公をすぐに殺すのはやめてほしいとお願いした。
「起」がかけたら、作品への希望も書いてもらった。
*恋愛小説にしてください
*現実に起こらないミステリーにしてください
*苦労を乗り越えて成長する物語に
*徹底的にセミと戦う展開(手段はとわない)
*最後に親子が互いを理解する・・・・
などなど、それぞれの想いをどう受け継ぐのか、わくわくする。
そして、右隣の人に託す。
「キャッチボールは、してほしい」と希望を書いた若者の「起」には
---久しぶりに「キャッチボールをしよう」と中学の友人に電話をかけた。---とあった。
それを受けて、右隣の人の「承」のストーリーは、
---「いいよ、久しぶりにやろう!」と、喜んで公園で逢うことになった。
そのとき、今の友人からも遊ぼうと連絡が入った。----
その右隣の人の「転」は。。。
----どちらかを選べないので、二人に事情を話したら、
三人でキャッチボールすることになった。緊張したが楽しく遊べた-----
そして、「結」を書く人へバインダーが回されると
---三人は嬉しくて、互いの話をして仲良くなった。友達の輪が広がった----
と結んであった。
いつもは、一人で過ごすことの多い参加者の
夢や希望があふれてくる気がする。
出来上がった、作品に、「キャッチボール」とタイトルをつけた彼は
自分の想像以上に気持ちがよい作品になっていた、と感謝していた。
小説の中では、はっぴぃえんどになれる。
参加者の優しさにジーンとした。
1コマ5分間の創作だが、かなり疲れたと思う。
なにしろ、自分の「起」を書いたら、チームの3人の続きを書かねばならない。
つまり、隣の人のミステリー系の「承」を考えて書いて回し
次には、ラブストーリーのクライマックス「転」を書かねばならない
そして、ドライブ旅行記のまとめの「結」を書く
そのたびに頭を切り替えて、ストーリーを考えなくてはならないのだから大変だ。
案の定、
すごく疲れた! でも面白かった!と感想をもらった。
ちなみに、私が気になったセミバトルの
仕上がった作品タイトルは「本当の敵」。
怒りに任せてセミを攻撃し、居場所をことごとく奪い、
セミを虫かごに詰めて、山に捨てにいくのだが、
そこで、私は自然の中で自分の傲慢さに気づき、
虫と人の棲み分けが虚しいと感じるという
思いがけない終結でした。
全部をご紹介できないのが残念です。