現代児童文学

国内外の現代児童文学史や現代児童文学論についての考察や論文及び作品論や創作や参考文献を、できれば毎日記載します。

児童文学における昔話のパターン

2018-07-17 14:16:43 | 考察
 現在でも、児童文学、特に絵本において、昔話や民話風の作品はたくさん書かれています。
 しかし、その多くは、地域に伝わる昔話や民話の掘り起こしではなく、すでに発表されている昔話や民話の二次創作であったり、あるいはその世界観だけを借りた安直な作品です。
 大塚英志が命名した「漫画的リアリズム(すでに発表されている漫画やアニメの世界観に立脚しています)」ならぬ、「民話的リアリズム」で書かれた作品群です。
 そういった作品群の中によくあるパターンとして、「悪しき者」(例えば貧乏神)がラストで「善き者」(例えば福の神)に変わるお話があります。
 その作品群は、大きく分けて「悪しき者」が善行を積んで「善き者」に変身する場合と、「悪しき者」は特に善行を積まないのに偶然や状況の変化で「善き者」に変身する場合があります。
 どちらかというと、後者はオリジナルの昔話や民話(「三年寝太郎」など)に多いのですが、最近の創作民話では前者の方が多く、そういった作品では近代や現代の教育の影響(教訓臭さ)が強く感じられます。

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