現代児童文学

国内外の現代児童文学史や現代児童文学論についての考察や論文及び作品論や創作や参考文献を、できれば毎日記載します。

千早茜「アカイツタ」眠りの庭所収

2018-07-28 16:21:25 | 作品論
 画家くずれの女子校の美術教師と、かつての恩師の娘との屈折した恋愛小説です。
 文章も描写も題材も比喩も、すべてがひどく古典的な少女小説です。
 秘められた過去、近親相姦、同性愛、私立のお嬢様学校、肉親への憎悪、芸術至上主義、女性好みの官能シーン(この作品のような描写では男性読者にはうけません)など、非常に時代がかった感じがします。
 でも、これらは女性好みのモチーフなので、こういった古くさい書き方の小説でも、一定の女性読者がいるのでしょう。
 この作品は、吉屋信子以来、綿々と書き続けられてきた、少女小説、少女マンガ、レディースコミックの伝統を正しく受け継いでいるのかもしれません。
 現代の児童文学では大半が女性読者(子どもだけでなく大人も含めて)なので、こういった(さすがに性愛シーンはタブーですが)少女小説は、今でも人気があります。

眠りの庭 (単行本)
クリエーター情報なし
角川書店
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殺したい女

2018-07-28 08:30:19 | 映画
 1986年公開のアメリカ映画です。
 妻を殺したい夫と殺されても仕方ないと思えるような猛烈な個性の妻(誘拐中にダイエットしてスリムに美しく、性格もいい人間に変身)を中心に、心優しく気弱な誘拐犯の若いカップル、夫の愛人とその間抜けな情夫、変態の警察署長とその無能な部下たちといった面々が、ドタバタコメディを展開します。
 ストーリー自体は、勘違いの連続を生かした他愛のないものですが、なんといっても主役を演じたダニー・デヴィートとベット・ミドラーの怪演ぶりが、この映画の最大の魅力でしょう。
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