現代児童文学

国内外の現代児童文学史や現代児童文学論についての考察や論文及び作品論や創作や参考文献を、できれば毎日記載します。

イタロ・カルヴィーノ「月と「ニャック」」マルコヴァルドさんの四季所収

2018-07-08 17:56:42 | 作品論
 「ニャック」というのは、マルコヴァルドさんの家(アパートの部屋)の窓の真ん前に設置されていたネオンサイン「スパーク・コニャック」の一部です。
 「ニャック」のために、マルコヴァルドさんの家からは月も星も見えないし、向かいの家の息子はマルコヴァルドさんの娘の笑顔を見ることもできません。
 ある日、マルコヴァルドさんの息子がパチンコで「ニャック」を壊してしまいました。
 それ以来、マルコヴァルドさんの家から月や星をながめることができましたし、向かいの家の息子はマルコヴァルドさんの娘と指のキスを送りあえるようになりました。
 マルコヴァルドさんは、壊したネオンサインを弁償させられるのを恐れていましたが、逆にライヴァル会社の「コニャック・トマック」に修理したネオンサインを壊す契約をすることになります。
 マルコヴァルドさんの息子が修理されるたびにネオンサインを壊し続けたところ、「スパーク・コニャック」は破産してしまいました。
 でも、皮肉なことに、マルコヴァルドさんの家の窓の前には、「スパーク・コニャック」の代わりに、もっと巨大で頑丈な「コニャック・トマック」のネオンサインができてしまい、月も星も若い二人の恋も終わりを告げました。
 短い作品ですが、何度もどんでん返しがあって、皮肉な結末とともに楽しめました。

マルコヴァルドさんの四季 (岩波少年文庫)
クリエーター情報なし
岩波書店
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