現代児童文学

国内外の現代児童文学史や現代児童文学論についての考察や論文及び作品論や創作や参考文献を、できれば毎日記載します。

イタロ・カルヴィーノ「じぶんひとりの町」マルコヴァルドさんの四季所収

2018-07-13 09:16:06 | 作品論
 夏のバカンスで誰もいなくなった町に取り残されたマルコヴァルドさんを描いています。
 ヨーロッパならではの面白い設定なのですが、この作品では作者の想像力があまりはばたかないので、もう一つの出来でした。
 ただ、マルコヴァルドさんが誰もいない町をいかした映画撮影(有名な主演女優が町の一番大きな噴水で水浴びをします)に巻き込まれるシーンは、この作品が書かれた少し前の1960年に公開された、同じイタリアのフェデリコ・フェリーニの代表作の一つ「甘い生活」の有名なシーン(主演のマルチェロ・マストロヤンニとアニタ・エグバーグがトレヴィの泉で戯れます)を彷彿とせてて興味深かったです。

マルコヴァルドさんの四季 (岩波少年文庫)
クリエーター情報なし
岩波書店
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児童文学における子どもの遊び

2018-07-13 08:47:53 | 考察
 児童文学の作品においては、しばしば子どもが遊んでいる様子が描写されます。
 その多くの場合に、作者が子どもの遊んでいる姿の愛らしさを描こうとすることがあります。 
 しかし、それではたんに子どもたちの遊びをなぞっただけで、それを通してどのような物語に発展させるかが欠けています。
 そのため、それらの作品は、作者の意図に反して、子どもたちには喜ばれずに、親や祖父母である大人たちの方が楽しめるといった、本末転倒な状況の陥ってしまっています。
 児童文学もひとつの商品であるからには、たんなる描写を超える何か(物語性であったり、娯楽性であったり、社会性であったりします)が必要です。

世界の子どもの遊び (楽しい調べ学習シリーズ)
クリエーター情報なし
PHP研究所
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