非発情期に親和関係にあったオスザルとメスザルは発情期に交尾を回避するという、人間であれば浮気や不倫のような関係で、面白い発見のように思えた(事実、当時の学界でも非常に注目されたそうです)のですが、それを発表をした本人がこの対談時にはすでに否定的で、親和関係とみなす方法が恣意的であったと反省していました。
確かに、3メートル以内(通常ニホンザルは互いに3メートル以上の距離を保っているのだそうです)に接近した回数が一定以上の場合は親和関係とみなすという方法はかなり強引で、3メートル以内に接近したといってもその時の行動(餌を食べるとか、グルーミング(毛づくろい)をするとか、何もしないとか)や状況によって違いはあるでしょうし、サルの個々のパーソナルな要因もあるでしょう。
そういった意味では、研究テーマがだんだん細分化されていくと、研究者がサル全体を見なくなり、「人間とは何か」というサル学がスタートした時の根源的な問いかけも薄くなってきていたのかもしれません。
このあたりが、日本のサル学を切り拓いた今西錦司先生がサル学を離れた理由のひとつなのかもしれません(その記事を参照してください)。
この反省に立って、発表者本人が語った、(新しいフィールドである屋久島では)「問題が出てくるまで、とにかくボウッとみていようと思うんです」という言葉が印象的でした。
確かに、3メートル以内(通常ニホンザルは互いに3メートル以上の距離を保っているのだそうです)に接近した回数が一定以上の場合は親和関係とみなすという方法はかなり強引で、3メートル以内に接近したといってもその時の行動(餌を食べるとか、グルーミング(毛づくろい)をするとか、何もしないとか)や状況によって違いはあるでしょうし、サルの個々のパーソナルな要因もあるでしょう。
そういった意味では、研究テーマがだんだん細分化されていくと、研究者がサル全体を見なくなり、「人間とは何か」というサル学がスタートした時の根源的な問いかけも薄くなってきていたのかもしれません。
このあたりが、日本のサル学を切り拓いた今西錦司先生がサル学を離れた理由のひとつなのかもしれません(その記事を参照してください)。
この反省に立って、発表者本人が語った、(新しいフィールドである屋久島では)「問題が出てくるまで、とにかくボウッとみていようと思うんです」という言葉が印象的でした。
サル学の現在 (上) (文春文庫) | |
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