現代児童文学

国内外の現代児童文学史や現代児童文学論についての考察や論文及び作品論や創作や参考文献を、できれば毎日記載します。

黒川博行「勁草」

2018-08-03 16:49:22 | 参考文献
 特殊詐欺という非常に今日的な犯罪を題材にして、犯罪者側(「受け子」と呼ばれる詐欺の被害者からお金を受け取るグループのリーダー)と捜査側の両方から描いています。
 いつもながら作者の犯罪に対する知識はたいしたもので、かつてはオレオレ詐欺と呼ばれていた特殊詐欺について、犯罪者側の内部組織(金主、名簿屋、道具屋、掛け子、受け子、ケツ持ちのヤクザなど)も、警察の捜査担当部隊も、すごくリアルに描かれています。
 しかし、作者の代表作の「疫病神」シリーズ(それらの記事を参照してください)ほど引き込まれないのは、主人公たち(犯罪者はもちろん警察側も)に「疫病神」シリーズの主人公たちのような魅力がないせいでしょう。

勁草 (徳間文庫)
クリエーター情報なし
徳間書店
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする