ケパとドルカス

『肝心なことは目では見えない』これは星の王子さまの友達になったきつねの言葉。

テロリズムの非情さ

2014年07月21日 | 随想

 Gaza2 まだ父が生きていたころだから、だいぶん前のことになる。日中戦争のことを伯父に聞いたことがある。父は海軍で伯父は陸軍だった。話が中国での日本軍による虐殺があったか、なかったかのくだりになって、思い出すようにこう言った。
 共産軍を追って行くと、彼らは大きな街に逃げ込んだ。街では彼らは軍服を脱ぎ捨てるが、銃は持ったままである。つまり民間人と区別がつかない。これは明白なジュネーブ条約違反で、スパイ以上の卑怯さである。そして彼らは市中を制圧しに入った日本軍を、民衆の谷間から撃って来た。たまらずに応戦する日本軍は、結果として多くの民間人も共に殺戮することになったと。彼らには「戦う」意識はあっても、国民を守るという意識はなかった、と。 この話を聞いていたので、天安門事件では、中国軍とは実は共産党の軍事組織であって、出自はテロリズムだ。自らの保身のためには国民を戦車でひき殺すことなど、ためらわないだろうことも容易に分かる。弱者が強者に挑むテロリズムとは、かくも非情なものなのだ。

Gaza1

 

 イスラエルのガザでの戦闘が激しさを増している。そして日本のメディアでは相変わらず、軍事的強者のイスラエル非難が主流である。しかしよく考えていただきたいのは、ガザの支配組織ハマスとは、国際的にはテロリスト集団として認知されている集団である。平穏に暮らしているイスラエルの人口密集地に向け、ミサイルを放つ。これは狂気である。東京や横浜にミサイルが飛んでくることを想像してほしい。
 ハマスはミサイルの発射口やその貯蔵地を、学校や病院、集合住宅などの地下に作る。それを感知したイスラエルは破壊するに当たって、ミサイルを持ち出せず、かつ人が逃げれる時間に警告を発する。また地域単位で出すこともあるだろう。ふつうなら逃げて死者はほとんどいないはずなのだ。しかしどうして子どもなど多くが死ぬのか?

 住民や子どもが避難して逃げることをハマスが許さないからなのだ。これは二重の意味がある。いたいけな死者が出ないと、イスラエルの非道さをアピールできない。また逃げ出せばイスラエルは地下にある軍事施設を完全に容赦なく破壊し尽くすだろう。死者の一部には、あえて死を選んだ人々もいるだろうが、子どもたちが選ぶはずはないのである。だからガザの人々を「盾」として、死に追い込むのはテロリスト、ハマスの方なのである。なお、イスラエルはこの事態になっても、ガザに水・食料・医薬品などを普段どおり供給している。

 

 こうして日本のマスコミなどが、ハマスのテロリズムにのせられて報道すればするほど、「盾」が有効となり、ガザの人々の死をハマスは有効に用いて行く・・・・実に恐ろしい非情さだが、これは三,四十年前に伯父から聞いた、中国での共産軍の話とあまり変わらない話だ。決して「無視しろ」と言うのではないが、水戸黄門のように、力が強い者をやっつければ快哉を叫ぶ、というのは余りにも愚かで、分別が無い対応である。  ケパ

コメント (3)
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