つづきです。
そんな中、ある一冊の雑誌を買った。
「JAZZHORN2004-2005」いう本だった。
世界で一番有名であろうキャンディダルファーの麗しい表紙の雑誌には、これからジャズサックスを始めたい自分にとって、最高の情報が掲載されていた。
日々、悶々としていた自分にとって、少しでも本を読んで癒される部分があったらいいなと思っていた。
その記事の中で、特に目を引いたのが、「YANAGISAWA物語」という柳沢管楽器の記事だった。
実は、私はヤナギサワというサックスメーカーは知らなかった。
サックスのメーカーというと、セルマーとヤマハとオールドとかビンテージという名目のブッシャーや、大好きなチャーリーパーカーが吹いているコーンやキングくらいしか知らなかった。でも、その柳沢管楽器の社長のコメントを読んで、胸が熱くなるものがあった。
「私達は、ご覧のとおり楽器を作っています。それは、そこから出される”音”を作っているいうことに他なりません。」
「最終目標はイエローブラスという一番ノーマルなところで最高峰を作り出すことですね。」
なんて素敵なことを仰るのか、、。(感動!)
それからというものヤナギサワの楽器が欲しくなった。
でも、新品は意外にも高く、その中で新製品として注目を浴びていたブロンズ素材のサックスに目を奪われた。それがA-902という楽器だった。定価で20万くらい、売値は、最も値引きしてくれる楽器屋さんで15万くらいだった。
がんばれば買えるかもしれない。そんな夢を感じながらも手持ちの資金が10万くらいしかなくて悩んだ。
そんな折、いつもドラムの個人練習用にレンタルしていたスタジオを経営している場末の中古楽器屋さんに、今、サックスに興味があって、、、という話を何気にした。そしたら、なぜか話を聞いてくれて、なぜか奥から仕舞っていた感のあるサックスを出してきた。それは、ヤマハのアルトサックスだった。
詳しい品番は忘れたけど、中古で、たぶん一番安いモデル。
プラスティックのケースに入っていて、楽器自体は中古とはいえ、少し擦り傷はあったものの全体的にはかなり綺麗だった。楽器自体は明るい金色で、一瞬、綺麗だと思った。
でも、私はヤマハの安いモデルは買わないつもりだった。なぜなら、どこで聞いた情報かは覚えてないけど、ヤマハはラッカーが剥がれやすいという話を聞いていて、すぐにラッカーが剥がれたら嫌だなと思っていた。(今、思うと変な言い掛りかも?汗)
それで、私が「他にないですか?」、、、と、聞いたら、お店の人がもう一本出してくれた。
それが、ヤナギサワのアルトサックスだった。
私は目を疑った。
その飴色に見える管体、その落ち着いた雰囲気、持つとずっしりと重かった。
でもすごくお店での生活が長かったのか、楽器本体はすごい埃にまみれて真っ白にも見えた。ただ管体に目立った傷はなく、一箇所だけ、すごく目立つ傷、、、というより、えらく目立つ水分の諸食によるシミがあった。
私はその楽器を抱きしめたまま、一時間もそうしていた。
なにしろ楽器を吹けない以前に、お店にはリードもストラップも無かったから。
そして、一時間くらい経過したころ、私は楽器を持ってお店の人がいるレジに行ったら、、、お店の人は私に楽器を預けたのを忘れていた。(爆)
で、さっそくお値段を聞いた。
そしたら、売値は、10万弱だった。(うーむ。)
で、それはお店の人もネットで中古価格の相場を調べて、その値段を想定したらしかった。
さらにモデル名を尋ねた。
そしたら、「YANAGISAWA A-500」という返事だった。
私 「本当ですか?」
しくこく聞くので、お店の人が、大きな楽器の業務用の価格表を開いて、もう一度、そう言った。
もう私にとっては、品番なんて関係なかった。
ただ、値段が気になった。なぜなら、サックスは本体だけでなく、付属のアクセサリーもお金が掛かるので資金が足りないと思った。
だから、少し価格交渉をしてみた。
最初にお店の人が出してきたヤマハのサックスが、言い値で7万5千円だった。
たぶん新品の定価の半額くらいを想定したと推測がつく。
そして、もう一本のヤナギサワの方も定価の半額だったのかもしれない。
私は、何度もお金が今無いので、もう少し安くしてもらえませんか?と頼んでみた。
そしたらお店の人が、いつもドラムの練習用にスタジオをレンタルしている常連さんだから、安くしてもいいと仰ってくれた。
そして値段は、最初に薦められたヤマハのサックスと同額になった。
でも、即座に買う!、、、とは言わなかった。
やっぱり衝動買いはよくない。
そう思っていたから。
(でも内心すぐに欲しい~!笑)
つづきます。(笑)