Happyday of LUCKY

日々の気付きと感謝を忘れないように綴るページ

雪のお見送り

2014年01月09日 | Life


義母の葬式会場に着くと、わたしがこれまで撮りつづけた正月の記念写真が並んでいた。
早く着いた参列者たちはその写真をまじまじと見つめている。
こんなところで展示されるとは夢にも思わなかったけど、こうしてじっさいに並べてみるとわるくない。ちょっとした写真展ではないか。



4人のお坊さんのうちだれかが式場をまちがえて遅れて来たため、予定よりすこし遅く葬式がはじまる。

不敬虔だと叱られそうだが、わたしはお坊さんがお経を唱えているとき、お経に合わせて叩かれる太鼓や鐘の音を注意深く聴いていた。
右手に座っているお坊さんのもつ小さな鐘を引磬(いんきん)というそうだが、これがお経のはじめや切れ目に入って流れにメリハリをつける。左に座るお坊さんは忙しい。木魚(もくぎょ)を叩きながらお経を唱え、ときどき磬子(けいす)と呼ばれる大きな鐘も叩く。木魚がお経のテンポを決め、磬子はブレークするときに「ゴーン」と鳴らす。そのとなりのお坊さんはオーケストラで使うような手持ちのシンバルを両手にもち、「ジャーン」とやったあと重ねあわせて「ビリビリビリー」という音色を出す。これが一番むずかしそう。

中央に座るお坊さんはいわばメインボーカルで、ソロでお経を唱えるときとみんなで合唱するときがある。両手に拍子木のようなものをもって「カチカチ」と鳴らすこともあった。
お経をよく聴いていると全員がおなじ音程ではないことに気づく。中央のメインボーカルに対し、右の人が低音で、左の二人が高音を受けもつ。
そして、あの独特の旋律によって3つの音程は付かず離れず、じつに心地よい和音になっている。この響きが参列者のきもちを落ちつかせ、やがて悲しみが浄化されていく。



1時間半におよぶ長い葬式のあと、BMWの霊柩車に付いて斎場へむかう。外は雪であった。
お骨を拾い、ふたたび葬式場へもどって初七日の法要もおこなう。

法要のあと、お坊さんのありがたいお話を聞く。
それによると、死者の霊はまだ現世をさまよっているらしく、天国へいくためには何度か「裁判」を受けなければならないそうだ。
その「裁判」は7日ごとに開廷され、生前その人がおこなった良いことと悪いことが「裁判官」によって裁かれるのだという。良いおこないが多ければ天国へ行けるが、悪いおこないの多い人は地獄へ行かねばならない。おお、こわい。
現在、日本の現世では三審制だが、あの世の裁判は7回も受けられる。さいごの裁判が結審するのが四十九日(7×7=49)の法要、すなわち満中陰(まんちゅういん)を迎える日ということらしい。

義母の霊魂が無事に天国へたどり着くように、来週から1週間ごとにあと6回も法要が営まれる。お坊さんは忙しいはずだ。

最新の画像もっと見る