Happyday of LUCKY

日々の気付きと感謝を忘れないように綴るページ

イメージを超えるイメージ

2013年05月10日 | Photography
「イメージ」という言葉は頭の中に浮かぶ像や形のことを意味するが、写真の世界ではしばしばプリントの画像を指すことが多い。
もう少し正確にいうと、ふだん目にするサービスサイズの縁なしプリントなどはイメージとは呼ばない。
たとえば六切りサイズで周りに余白が20ミリくらい付いているようなプリントの画像部分をイメージと呼ぶ。
本当はプリントのサイズには関係ないのだろうけど、額装を前提に焼かれたプリントは余白が必要なので、だいたい六切りとか四切り以上のサイズにおいて使われる言葉だと思う。
つまり作品として写真制作するときによく使う言葉なので、ふつうに記念写真を撮る人たちには通じないこともある。



きのう撮影で一日つぶしてしまったので、きょうは朝9時半から暗室をはじめた。
1日に焼けるプリントの枚数はバライタ紙なら4~6枚、RC紙なら10枚くらいだ。なので前の晩にどのコマを焼くか、ベタ焼きを見て計画を立てておく。
だが、たいがい酩酊状態でルーペを覗いているので、しょぼいカットもよく見えるようだ。
いざ焼く段になって「?」のカットもあるから、結局は焼くときの直感みたいなものが一番大切。

きょうは2枚目にいきなりピークが来た。
昨夜のイメージ(頭に浮かんだ画像のこと)で焼き込みをしたら、まったくちがうイメージ(印画紙の画像のこと)が出てきたので、おどろいた。こんなこともあるんだ。
なんか今つくっている作品を通り越して、つぎの作品につながっていきそうなプリントができてしまった。
これを今回のまとめに入れるかどうかは、もう少し冷静に考える必要がある。

16時までかかって13枚の完成プリントを得る。あともう少しだ。

リトル沖縄のソーキそば

2013年05月09日 | Life


焼かねばならない本番プリントが20枚以上もあるので、きょうは朝から暗室をしようと思っていたが、あまりにもいい天気なので作品撮りに出てしまった。暗室はあしただ。
きょうの撮影場所は大正区。大正区といえば、去年やってたNHKの朝ドラ「純と愛」の舞台で、リトル沖縄とよばれるほど沖縄色の濃い場所だ。
昭和のころは造船、自動車、鉄鋼などの重工業が盛んだったが、しだいにその規模は縮小して、いまは中小の工場が多くなった。
だけどこの町を歩くといろんな重機や船の設備などが目について、なんかワクワクしてしまう。どうもわたしはこういう機械モノが好きなんだな。



午前中、2時間ほど撮影して昼食をとる。せっかくなので沖縄料理の食える店に入る。
マルトミ食堂のソーキそばはいつもてんこ盛りで、お世辞にも旨そうに見えないのであるが、よく煮込んだ分厚いソーキ(豚のスペアリブ)と結び昆布・大根・白菜が、沖縄独特の太い麺と渾然一体となり、食べだしたら汁のさいごまでその手と口が止まらない。
何年かまえに本場沖縄の国際通りで食べたものよりぜったいに美味しい。つまり、ここのソーキそばは日本一だとわたしは思っている。
ウソだと思ったら、一度食べに来てみればいいサー。(ここはもちろん沖縄弁)

食後、平尾商店街でゴーヤと島豆腐を買い、さらに2時間ほど撮影して帰路につく。



[きょうの夕食]
・豚のスペアリブ鉄板焼き
・豪華なゴーヤチャンプル(ゴーヤのほかに、豚バラ肉・玉ねぎ・シイタケ・シメジ・タケノコ・島豆腐そして卵が入ってます)
・冷やっこ(知る人ぞ知る「瑞慶覧」の島豆腐)「ずけらん」と読みます。

どんどん黒くなる

2013年05月06日 | Photography
モノクロプリントの画像が生成される工程は四つあって、まずはじめに露光した印画紙を現像液に90秒ほど浸ける。
すると光の当たった部分が現像液と化学反応をおこして黒くなる(銀粒子ができる)。
つぎに停止液に30秒浸けるのは、印画紙についた現像液を中和して、現像を文字どおりストップさせるためだ。
そのあと光の当たらなかった部分に残ったハロゲン化銀を定着液に浸けて溶かしだす。処理時間は薬品によってちがうが、わたしがいつも使っている定着液は30~45秒。
それ以上長く浸けるとせっかく黒くなった部分の濃度が下がってくるので注意しなければならない。
さいごに水に浸けて定着液を洗い流す。RCペーパーなら2~3分でOK。それ以上浸けると、ペーパーの角が傷みやすいので、やはり時間厳守で。

このように処理液は水洗の水もふくめて4種類あるわけだが、だいたい20度前後に保っておくことがペーパーにストレスをかけないのでいい。
なので、ちょうど今くらいの気候が暗室作業にはベストである。
連休最終日のきょうは朝からいよいよ本焼きだ。BGMはサンボマスター。テンションあがるぜ。



3年間くらいフィルムから離れて、デジタルでプリントを制作していたが、去年の暮れからまたフィルムで撮りだして、今年のはじめに暗室を再開したことは以前に書いた。
デジタルプリントはあまりにも自由になることが多い(ある意味、表現の幅は広い)ので、フィルムによる制作では逆に不自由さを表現に生かさなければその意味がないと思う。
五・七・五の17文字で自分の世界観をあらわす俳句のように、いろんな表現を削ぎ落していった先に立ち現れるようなものがモノクロプリントなのではないか。
そんなことを考えながら4ヶ月ほど焼いてきたが、最近どんどんプリントが黒くなってきている。

かつて写真学校でモノクロプリントを教えていたころなら、ぜったいにこんな黒焼きはダメだと指導していたはずなのに。
そのころは「暗い部分の中にある微妙なトーンやディテールこそ、モノクロプリントの美しさだ」と信じていた。
いや、今でもそれはまちがいではないと思うけど、わたしの頭の中にあるイメージはもうそうじゃない。
真っ黒につぶれてなにが写っているのか見えない部分があってもいいと感じるようになってきた。むしろ、そういうところがあるからこそ見える部分が際立つように思う。

サンボマスターに勇気をもらって、黒焼き量産中。

滑落するライカ

2013年05月04日 | Camera
兵庫県の多紀連山のひとつ筱見四十八滝へいく。
登山口から山頂までの高低差は300メートルほどだから、大したことはないと高をくくっていたのがまちがいだった。
首からニコンD800、左肩にライカM2をさげて険しい登山道を歩いていく。
途中にチェーンやロープを張った急勾配の坂道(というか壁)が何ヶ所も出てくるので、どうしても両手を使わないと登れない。
これは気をつけないと岩肌にカメラをぶつけそうだな。



細心の注意をはらって登っていたのに、あっと思った瞬間、ライカが左肩からすべり落ちた。
左手を上にあげるよりも早く、ライカが地面に激突。
叫びそうになる気持ちを抑え、ボディを仔細に点検する。破損箇所はない。土の付き方からみると最も頑丈な底部から落ちたようだ。ちょっと安心。
そもそもM型やバルナック型ライカは、ボディがパイプをつぶしたような平たい円筒形なので、衝撃に対して非常につよい。
かつて戦場で多くのカメラマンが使っていたことがそれを証明している。

事なきを得て登山道をすすむ。
ところがM2で遠景を撮ろうとしたとき、レンズのヘリコイドをインフ側に回しても、距離計が重ならないことに気づいた。
落下の衝撃で距離計がズレている。
インフが出ていないということは、合わせたつもりの近景もぜんぶズレているってことだ。オーマイガーッ!
しかもよく見ると左右だけでなく、上下にもズレている。これは重症だ。おわった…。
残りのカットは目測で撮ったが、2本目のフィルムを入れずにM2をリュックにしまう。
ついこの間、修理から帰ってきたばかりなのに、また修理か(T_T)



妻の実家にもどると義妹の家族がやってきた。
小学5年生になったお兄ちゃんとその友達、そして3年生の弟が、まだ田植えのはじまっていない田んぼであそんでいる。
都会っ子でも子供はみんな同じだね。

見る欲望を満たすニコンD800

2013年05月02日 | Camera


ニコンSSへ行ったついでに、先日オープンしたグランフロントを見にいく。
中へ入る時間がないので、とりあえず外観をニコンD800でスナップしてみる。
広場のようなところに真新しいモアイ像が立っていて、みんな熱心に撮っているけど、なんですかこれは?
たしかにインパクトはあるけど、無理やり取って付けたって感じで、おかしさを通り越してなんか悲しい風情がただよっている。
そのうち認知度が上がってきて「じゃあ、モアイ2時ね」なんて、渋谷の忠犬ハチ公みたいになるのだろうか。

(追記)このモアイ像は5/2~9までの1週間だけの展示でした。現在は宮城県南三陸町にあります。



さて、上の2枚はプログラムオートでJPEG撮って出しのデータを横1840ピクセルに縮小したものだ。じっさいのデータはこの4倍の7360ピクセルもある。
ホワイトバランスはオートでピクチャースタイルはスタンダード。露出補正もしていないので完全にカメラ任せなんだけど、これでも十分写真として成立している。
3600万画素というだけで、それが表現になってしまうのか。
シノゴやバイテンなどの大型カメラで撮れば、もうそれだけで写真表現になってしまう感覚に近いものがある。
これは写真というメディアが人間の「見る」という欲望を満たすために存在するものだから、当然といえば当然なのだが、それにしてもD800の解像力とオート性能はすごい。
シャッターボタンを押すだけで作品になってしまう。(そんなわけないけど)

淀川の北岸からグランフロントを臨む

グランフロントをチラ見したあと、十三のブルームギャラリーへ行く。
きょうからはじまった池本喜巳さんの写真展「素顔の植田正治」を見るためだ。
今年で生誕100年になる植田正治氏の助手として、氏の撮影風景やふだんの姿をスナップ的に撮った写真なので、肩の力がぬけていて非常におもしろい。
25年間も記録しつづけた膨大な写真群の中から、厳選された約30点のモノクロ写真が展示されている。
有名な鳥取砂丘のシリーズがこんなふうに撮られていたんだなあと、思わず見入ってしまった。
ネタばれで申し訳ないけど、帽子が宙に浮いているあの作品は釣り竿で吊っていたなんて!
明日19時から池本さんのトークイベントがあります。(有料)