このたび、ライカM8を売ってあたらしく買ったカメラというのは「シグマ dp2 クアトロ」だ。
はじめて見た人はきっとヘンな形と感じるであろう。わたしもそう思う。
このdpクアトロシリーズはdp0~3まで4機種あって、それぞれ焦点距離のちがうレンズが付いている。
dp0は14ミリ(35ミリ換算で21ミリ相当)、dp1は19ミリ(28ミリ相当)、dp2は30ミリ(45ミリ相当)、dp3は50ミリ(75ミリ相当)。
14~50ミリくらいならズームレンズにすれば1台で済むのに、わざわざ単焦点にして4機種もつくるなんて、これだけでもかなりマニアックなカメラだとわかるだろう。
シグマの山木社長自身も認めるとおり、dpシリーズは変態カメラなのである。
もともとレンズメーカーであったシグマは、レンズづくりに強いこだわりを持っている。最高の性能を引き出すにはズームよりも単焦点の方が有利なので、dpシリーズは単焦点レンズを採用しているわけだ。
レンズだけではない。イメージセンサーもほかのメーカーにはない、独自のフォビオンセンサーという特殊なものを使っている。
ベイヤー式のセンサーの撮像素子が単層なのに対し、このフォビオン式は三層の撮像素子が使われている。それぞれの層で別々にR・G・Bの光を受け止めるので、演算によって補完する必要がない。色情報をすべて受け止めるのだから、高精細な画像になるのは想像できるだろう。
最高の画質を得るためにレンズもセンサーも最高のものをつくって、組み合わせた結果がこのdpシリーズなのである。変態でしょ。
そういうカメラなので、画質以外は少々ガマンしなければならないところがある。
まずピントが遅いので動くものはほとんど撮れない。置きピンなら撮れるかもしれないが、出会い頭のスナップ撮影には不向きだ。
また撮影したあとの書き込みもけっこう遅い。完了までに5~10秒近くかかる。プレビュー画像が出ても2秒で消えるので、拡大してピントをたしかめるにはもう少し待たねばならない。
それから手ぶれ補正機能は付いていない。両手でボディをしっかりと持ち、そっとシャッターを切らないとすぐにブレてしまう。片手で撮るなんてもってのほかだ。高画質を得るためには、できれば三脚を使いたい。
さらに、タッチパネルやチルト式モニタなど、撮影者を甘やかす機能も付いていない。
当然ながら、アートフィルターとかシーンセレクトとか、動画機能も付いていない。いまやM型ライカでさえ動画が撮れるというのに、dpシリーズは静止画像しか撮れないのだ。
要するに写真表現に関係のない機能はいっさい付いていないカメラである。尖っている。
ISO100、絞りf6.3オート
中央部ピクセル等倍
どれほど高画質なのかは画像を見れば一目瞭然だと思う。上の画像はJPEG撮って出しで、なにも触っていない。クアトロシリーズになって、露出もWBも安定して使えるようになった印象だ。
dpシリーズにくらべたら、フジもパナもオリもソニも、どれも似たり寄ったりだね。